2011 Fiscal Year Annual Research Report
極穂重型イネ品種の登熟能力向上に寄与する良登熟型遺伝子の機能解析
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22580020
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
加藤 恒雄 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (70149748)
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Keywords | イネ極穂重型品種 / 登熟 / ADPグルコースピロホスホリラーゼ / 分子マーカー / ショ糖トランスポーター / 定量PCR / 多重PCR |
Research Abstract |
1 極穂重型品種で遺伝子型がAS2-2SUT1-2である良登熟型のものとAS2-1 Sut1-1の非良登熟型のものを通常栽培し,登熟程度として精籾歩合(比重1.00以上)と良登熟籾歩合(比重1.15以上)を測定した.その結果,これまでの年次と同様に良登熟型であるAS2-2 SUT1-2をもつものの方が非良登熟型に比べより高い登熟程度を示していた.これより,環境が変わっても良登熟型遺伝子はそれらをもつものの登熟程度を高める傾向が強いことが明らかになった. 2 上記のSUT1の翻訳開始点から訳400bp上流にトランスポゾンmPingが挿入された品種銀坊主と挿入されていない系統IM265を通常栽培し,出穂後10および15日目の2次枝梗上穎花の胚乳からmRNAを抽出し,定量PCRによってSUT1の発現程度を検討した.その結果,銀坊主の発現がIM265に比べてやや低下しているもののその差は有意ではなかった.今後はさらに多くの系統を供試し,SUT1の発現に対するmPing挿入の効果について検討を加える. 3 A52座およびSUT1座の遺伝子型をより容易に判別できる分子マーカーおよびその検定方を確立するため,AS2座での変異箇所である翻訳開始点直前の2個のシトシンの有無を,従来のような2種類のプライマー対を別々のPCRで用いて検定する方法に替えて,新たに設計した2組のプライマーを同時に用いる方法を試みた.さらにこれらとSUT1遺伝子型を検定するSSRマーカー用プライマーも組み合わせた多重PCRによる手法にも発展させた.その結果,まだ十分な検定を行えるには至らずプライマー設計上の改良が必要であると判断された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定量PCRの実施により登熟関連遺伝子であるAS2,SUT1の発現程度を検討できるようになった.満足のいく結果には乏しいものの,今後の発展が期待できる。また,上記遺伝子座の遺伝子型を判別する分子マーカーにも改良が加えられた.
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Strategy for Future Research Activity |
良登熟遺伝子の一つSUT1の機能解析のための材料として,本遺伝子の上流にトランスポゾンmPingが挿入された多くの系統が見出された.これらを基に本遺伝子の発現に対する挿入の影響を今後大規模に展開する.また,茎における同化産物の動態,特に穂への転流に関わる特性と登熟遺伝子との関連を今後調査していく.さらに,登熟関連酵素遺伝子として新たにOsAGPL2座における対立遺伝子が挙げられる可能性が認められた.本遺伝子の発現量と登熟等との関連性も今後検討していく.
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Research Products
(2 results)