2010 Fiscal Year Annual Research Report
ツツジ園芸品種における花器変異形質の評価・解析と新品種の作出に関する研究
Project/Area Number |
22580032
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
小林 伸雄 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (00362426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中務 明 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (40304258)
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Keywords | ツツジ / 花器形態 / MADS遺伝子 / 品種改良 / 花木育種 |
Research Abstract |
ツツジ園芸品種の花器形質変異に注目し、I.形質の評価や遺伝性を調査し、さらにII.機構解明のために遺伝子解析を行うことを目的とした本研究において、平成22年度では以下のような成果を得た。 (1)材料収集と交配ならびに交配系統の育成、花器形態形質の調査 花器形質の遺伝分析や新品種開発を達成するための交配計画を策定し、品種や野生種を用いた交配を行った。また、これまでの交配実生系統の育成(F1およびF2)ならびに開花した交配実生の花器形質の観察・調査を開始した。 特異な花器変異形質のうち、特に花弁や葉が狭細化した采咲き形質を持つ希少なツツジ品種を用いて詳細な花器形質調査を行い、品種ごとの形態の差異や特徴を明らかにした。その結果、采咲き品種は、独立した5花弁から構成される離弁花冠を形成し野生型の合弁花冠とは対照的であること、また、狭細化した花弁や葉の表皮細胞の大きさは野生種と采咲き品種の間に差がないことなどの結果が得られた。 (2)花器形質を制御する遺伝子の単離・解析:中務 ヤマツツジ野生種を用いて、MADS遺伝子のAPETALA3(AP3)とAGAMOUS(AG)の全鎖長配列を新たに得ることに成功した。ヤマツツジ野生種とその二重咲き品種を用いてPISTILATA(PI)とAP3の塩基配列を比較すると、エキソン配列には大きな差異はなかった。しかしながら、ヤマツツジ野生種で主に発現する花冠・雄ずいに加えて、二重咲き品種ではwhorl1(花冠化したがく)と雌ずいにおいてもPIとAP3の遺伝子発現が検出された。またヤマツツジ野生種と采咲き品種においてPI,AP3,AG遺伝子の発現を比較すると、品種によって野生種と同じ発現パターンと示すものと示さないものがあり、花弁が細くなる原因がMADS遺伝子以外もある可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)