2011 Fiscal Year Annual Research Report
ツツジ園芸品種における花器変異形質の評価・解析と新品種の作出に関する研究
Project/Area Number |
22580032
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
小林 伸雄 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (00362426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中務 明 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (40304258)
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Keywords | ツツジ / 花器形態 / MADS遺伝子 / 品種改良 / 花木育種 |
Research Abstract |
ツツジ園芸品種の花器形質変異に注目し、I.形質の評価や遺伝性を調査し、さらにII.機構解明のために遺伝子解析を行うことを目的とした本研究において、平成23年度では以下のような成果を得た。 (1)花器変異形質の評価と交配系統の育成、花器形質の遺伝性調査 花器形質の遺伝分析や新品種開発を達成するための交配計画に基づく交配系統、ならびにこれまでの交配実生系統の育成(F1およびF2)を継続し、開花した交配実生の花器形質の観察・調査を継続した。 特異な花器変異形質のうち、特に花弁や葉が狭細化した采咲きおよび蕊咲き形質持つ希少なツツジ品種の形態的特徴を調査した。モチツツジ、ヤマツツジおよびサツキの離弁花冠化変異品種を用いて花器官および葉の形態解析を行なった結果、2つの特徴的なグループに大別できた。蕊化変異形質を有するグループでは、雄ずい様花弁などに雄ずい様の表皮細胞が観察された。一方、多面的狭細化変異形質のグループでは、葉と花弁の狭細化、がく片の狭細化あるいは消失等が観察された。これらの結果について学術論文に報告した。 (2)花器形質を制御する遺伝子の単離・解析 多面的狭細化変異形質に関して、RkWOX1およびRkWOX3遺伝子の単離と発現解析を行なった。野生種の茎頂分裂組織ではRkWOX3の強い発現が認められるのに対し、ヤマツツジおよびモチツツジの狭細化品種では発現がほとんどない、あるいは発現があっても遺伝子機能が欠損していることが明らかとなった。 また、異なる花形を同一個体に持つキリシマツツジを用いて、MADS遺伝子のPISTILATA(PI)とAPETALA(AP3)の遺伝子発現を比較すると、PI遺伝子に関して発現量と発現する遺伝子の種類により一重咲き・蓑咲きおよび二重咲きが形成されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ツツジ園芸品種の花器形質変異に関して、花器変異形質の評価、交配系統の育成、花器形質の遺伝性調査ならびに機構解明のための花器形質を制御する遺伝子の単離・解析が、ほぼ計画通りに進展し、論文発表を含む着実な成果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、ほぼ計画通りに研究が進展しており、最終年度である次年度において、花器変異形質の評価、交配系統を用いた花器形質の遺伝性調査ならびに花器形質を制御する遺伝子解析の取りまとめを行う予定である。また、特に研究遂行上の問題はない。
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Research Products
(10 results)