2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22580034
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
深井 誠一 香川大学, 農学部, 教授 (80228858)
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Keywords | グロリオサ / カーネーション / アントシアニン / 糖誘導型転写因子 |
Research Abstract |
グロリオサ切花をショ糖を含まない生け水に生けた場合,各小花の開葯時の花被片の糖含量は上位節の花ほど低くなる傾向があった.一方ショ糖5%を含む生け水で生けた場合,各小花の開葯時の花被片の糖含量は上位節の花ほど増加する傾向を示した.以上のことから花被の糖蓄積量の不足が発色不良の原因とは言えなかった.次にグロリオサの花被に含まれる主要な色素であるシアニジン-3-グルコシド(Cy3G)とペラルゴニジン-3-グルコシド(Pg3G)の2種類のアントシアニン含量を分析した.ショ糖を含まない生け水に生けた切花とショ糖5%を含む生け水に生けた切花のアントシアニン含量を比較すると,第3花及び第5花の両方で,ショ糖5%を含む生け水に生けた切花の方が高いアントシアニン含量を示した.次にアントシアニンの生合成関連遺伝子の発現動態を明らかにするため,他の単子葉植物のアントシアニン関連遺伝子の配列を参考にしながら,グロリオサ由来のアントシアニン関連遺伝子の単離を試み,GsCHS1,2,3,GsDFR1,2,GsANSをそれぞれ単離した. カーネーション品種エクセリア切り花の貯蔵液の糖が花被片におけるPAL,CHS,CHI,F3H,DFR,ANSの遺伝子発現に及ぼす影響を解析したところ,ショ糖存在下では上記アントシアニン生合成関連遺伝子の発現がショ糖を含まない貯蔵液に保存された切り花に比べて多くなっていることが明らかになった.またカーネーション品種ミラクルルージュの花弁からtotal RNAを抽出し,シロイヌナズナAtMYB75/PAP1様の糖誘導型転写因子の単離を行った.得られた2つのフラグメントはPAP1と同じサブグループ10に属するペチュニアのアントシアニン生合成に関連しているMYB遺伝子An2と相同性が高いことが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グロリオサにおいては,アントシアニン関連遺伝子の単離を試み,GsCHS1,2,3,GsDFR1,2,GsANSをそれぞれ単離出来たこと,カーネーションにおいてはアントシアニン生合成に関与する糖誘導型転写因子の単離ができたことからおおむね順調に研究は進行していると判断された.
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Strategy for Future Research Activity |
グロリオサにおいては,グルコトランスフェラーゼ遺伝子の分離同定を進め,最終的に切り花の部位別花色素遺伝子発現の全容を明らかにする.カーネーションにおいては,単離した糖誘導型転写因子と思われる遺伝子の発現解析を行い,切り花の保存中の貯蔵液の糖の有無が花被片のアントシアニン生合成に及ぼす影響の全容を明らかにする。
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