2011 Fiscal Year Annual Research Report
in vitro全茎切断およびフェノール代謝制御による植物の再分化促進
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22580038
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小田 雅行 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (50291604)
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Keywords | 再分化 / シュート形成 / 遺伝子組み換え / 褐色抑制 / 増殖 |
Research Abstract |
植物の遺伝子組み換えは、組織培養による再分化系の確立が大前提であるにも係わらず、多くの植物種において未確立または不安定である。そこで、圃場レベルで不定芽形成効果の高いことが証明されている全茎切断法(すべての茎頂の切除により茎切断面に不定芽を形成させる。)と切断面の褐変抑制に有効なAOPP(L-2-アミノオキシ-3-フェニルプロピオン酸)処理を組織培養に適用して安定的で高い効率の再分化系を開発する。 23年度は、トマトのin vitro全茎切断においてAOPP処理による不定芽形成の促進効果を調べた。その結果0.01mMのAOPPを培地に加えると、増殖および不定下形成の効率が上がることが明らかになった。 ナスでは、従来の胚軸培養とin vivo全茎切断のシュート形成効率を比較した。不定芽形成数は、胚軸培養で3.1個に対して、in vivo全茎切断では10.3個、シュート形成数は、胚軸培養で2.4本に対して、in vitro全茎切断では8.1本となり、増殖効率が著しく改善された。さらに胚軸培養において、培地のAOPP濃度を0.01mMにすると、対照(0mM)の2.3倍の増殖効率になることが明らかになった。 一方、組織培養による不定芽形成が極めて困難なソバについては、24年度の実験計画を前倒しで実施した。胚軸の切断位置、暗黒(褐変物質濃度低下)、低窒素(サイトカイニン濃度上昇)、AOPP(フェノール代謝抑制)、硝酸銀処理(エチレン生成防止)などの処理を試みたが、全ての処理でカルスおよび不定芽形成促進効果は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究室に所属する学生の多くがこの研究課題を実施しており、エフォートの割合が高いことにより、ほぼ予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
ナスのin vivo全茎切断におけるAOPP添加の効果を明らかにするとともに、全茎切断による不定芽形成促進のメカニズムを解明する。前倒しで研究を実施したソバは、効果が全く認められなかったので、その場合の当初計画通りに、研究対象を全茎切断による不定芽促進がやや困難なウリ科植物やかなり困難なピーマンに変更し、解明した不定芽促進メカニズムの応用を試みる。
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Research Products
(2 results)