2010 Fiscal Year Annual Research Report
真性抵抗性との比較解析によるイネいもち病圃場抵抗性機作の解明
Project/Area Number |
22580055
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
鬼頭 英樹 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター・病害抵抗性研究東北サブチーム, 主任研究員 (40455308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
善林 薫 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター・病害抵抗性研究東北サブチーム, 主任研究員 (80355320)
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Keywords | いもち病 / 抵抗性 |
Research Abstract |
非切断葉鞘接種法を用いて、いもち病菌の菌糸伸展様式、イネの細胞死頻度および活性酸素生成を罹病性品種「コシヒカリ」、圃場抵抗性遺伝子Pi34が導入されたコシヒカリ同質遺伝子系統(以下Pi34-NIL)、真性抵抗性遺伝子Pibが導入されたコシヒカリ同質遺伝子系統(以下Pib-NIL)間で比較した。接種36時間後の付着器下イネ細胞へのいもち病菌の侵入はPib-NILでのみ有意に低下した。一方、被侵入イネ細胞おける菌糸の分岐および隣接細胞への伸展は、「コシヒカリ」でのみ観察され.Pi34-NILおよびPib-NILでは観察されなかった。また、Pi34-NILおよびPib-NILでは、接種後120時間経っても菌糸の分岐および伸展は観察されなかった。接種30時間後におけるPib-NILおよびPi134-NILの付着器下イネ細胞の細胞死頻度は同程度を示し、「コシヒカリ」よりも有意に高かった。付着器下イネ細胞における活性酸素の生成も細胞死と同様の傾向を示した。このことから口場抵抗性遺伝子Pi134はいもち病菌の侵入を抑制しないが、侵入を許した後は真性抵抗性遺伝子Pibと同様の反応を示すことが明らかになった。 運鎖解析および遺伝子発現解析により特定したPi34候補遺伝子のうちの1つについて、cDNAの部分配列333bpを導入したRNAi用バイナリベクターをPi34保有品種に形質転換し、36個体の候補遺伝子発現抑制個休を得た。このうちの12個体にいもち病菌を葉鞘接種し、接種72時間後に付着器直下のイネ細胞の反応について、vector control個体(以下vc個体)と比較した。その結果、発現抑制個体では付着器下イネ細胞で侵入菌糸の分岐や隣接細胞への菌糸伸展が観察された。一方vc個体では、1個体を除き菌糸の分岐・伸展は観察されなかったことから、本候補遺伝子はいもち病抵抗性に関与していると考えた。
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