2011 Fiscal Year Annual Research Report
真性抵抗性との比較解析によるイネいもち病圃場抵抗性機作の解明
Project/Area Number |
22580055
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
鬼頭 英樹 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター・水田作研究領域, 主任研究員 (40455308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
善林 薫 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター・水田作研究領域, 主任研究員 (80355320)
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Keywords | いもち病 / 抵抗性 |
Research Abstract |
圃場抵抗性の機作の解明のため、種々のいもち病抵抗性反応シグナルの上流に存在すると考えられている活性酸素蓄積について、真性抵抗性および圃場抵抗性のそれぞれ蓄積パターンの特徴づけを行った。真性抵抗性と圃場抵抗性は感染初期においては共通する蓄積様式を示し、感染後期においては異なることを明らかにした。そこで、活性酸素蓄積を表現型の指標として感染過程における時間を区切り、真性抵抗性遺伝子痔わと圃場抵抗性遺伝子Pi34を保有するコシヒカリ同質遺伝子系統それぞれに対し、親和性菌および非親和性菌を接種し、感染初期および後期においてSuperSAGE法による網羅的遺伝子発現解析を行った。 Pi34候補遺伝子について、種々の5'-RACE法によるcDNA取得を試みたが、特異的な増幅産物を得ることができず、完全長cDNAを用いた相補性検定に至らなかった。そこで候補遺伝子が高発現するサンプリング条件の検討を行っている。また、ゲノミックDNAによる相補性検定のため、Pi34候補遺伝子を含む60kbのAscIフラグメントをBACクローンCh21I21より切り出し、TACベクターに導入したゲノミックコンストラクトの作成を行った。しかし、TACベクターの廊oIサイトへのクローニングは成功しなかった。そこで、他の制限酵素を用いて候補遺伝子をクローニングするため、Ch21I21の制限酵素地図を作成した結果、適当な制限酵素サイトが存在しないことが明らかになった。このため、pCMBIAベクターを用いてSau3AIで部分消化したサブゲノミックライブラリーの作成を行っている。 22年度に作出したPi34候補遺伝子の発現抑制個体から得たT1個体について、いもち病菌を葉鞘接種した結果、抵抗性が低下していることが観察できた。このことより、本候補遺伝子がいもち病抵抗性に関与し、発現抑制効果はT1で保持されていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
候補遺伝子のcDNAの取得が出来なかった。また、候補遺伝子の上流配列がシークエンス難読領域であったためプロモーター領域のdeletion constructの構築が計画通り進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
いもち病菌感染過程における葉身細胞の活性酸素蓄積において、真性砥抗性と圃場抵抗性間の差異が明らかになったため、解析組織を葉身に絞って抵抗性関連遺伝子群の挙動を明らかにする。また、候補遺伝子の完全長cDNA未取得に関しては、プライマー設計の検討を進めると共に、候補遺伝子が高発現する条件を検討する。候補遺伝子のプロモーター領域は難読配列であったためPCR法によるdeletion constructの構築が出来なかった。そこで、Sau3AIで部分消化したサブゲノミックライブラリーによって相補性検定とプロモーターのdeletion assayを行い、問題を解決する。
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