2012 Fiscal Year Annual Research Report
ツマグロヨコバイの唾液に存在するカルシウム結合タンパク質の師管吸汁に果たす機能
Project/Area Number |
22580063
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
服部 誠 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 研究員 (60370673)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 唾液 / EF-ハンドモチーフ / カルシウム結合タンパク質 / 師管吸汁 / ツマグロヨコバイ |
Research Abstract |
イネ害虫であるツマグロヨコバイは吸汁に際して唾液を吐出しており、その唾液には主成分としてEF-ハンドモチーフを有する分子量84kDaのタンパク質(以下NcSP84と呼称)が含まれていることを明らかにしてきた。本課題では、NcSP84タンパク質が師管からの吸汁の達成において果たしている役割を解明する目的で研究を進めた。本年度の研究成果は以下の通りである。 1)NcSP84のcDNAをもと発現ベクターに組み込み、大腸菌JM109で発現させたところ封入体を形成したためリフォールディングを試みた。しかし、可溶性タンパク質として回収することはできなかったことから、ツマグロヨコバイ唾液腺を含む頭部抽出物(約2400♀分)を集め、各種クロマトグラフィーによる精製を経て、約400μgのNcSP84をNativeなタンパク質として得た。 2)このNcSP84をカルシウムイオンを含む溶液に添加し、カルシウム蛍光指示薬を用いた高感度検出法で定量したところ、添加量に応じてカルシウム濃度の低下が認められた。 3)NcSP84遺伝子の発現をノックダウンした虫の師管吸汁、生存への影響を調べるため、二本鎖RNAをツマグロヨコバイ♀5齢幼虫に注射したが、発現量を抑制することはできなかった。この理由の1つとして、本タンパク質は唾液腺で常時大量に発現していることが考えられた。 4)NcSp84の師管閉塞に及ぼす影響を知るため、30-35日イネ苗の葉鞘を切断後、断面を本タンパク質溶液に浸漬したのち、蒸留水を入れた容器に入れ、5時間後に溶液を濃縮し、薄層クロマトグラフィーで分離し蔗糖の有無を調べたところ、僅かながら検出された。これらのことから、師管損傷時に漏洩するカルシウムイオンをNcSP84がトラップすることにより、カロース沈着などの師管閉塞反応を抑制している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)