2011 Fiscal Year Annual Research Report
殺虫剤抵抗性分子検出に向けての昆虫シトクロムP450過剰発現変異の研究
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22580064
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
冨田 隆史 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (20180169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛西 真治 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (80332360)
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Keywords | シトクロムP450 / 殺虫剤抵抗性 / シス作用性突然変異 / ピレスロイド / 疾病媒介蚊 |
Research Abstract |
(i)ネッタイイエカのピレスロイド抵抗性成虫で過剰発現を示す酵素遺伝子:成虫のピレスロイド剤選抜により確立したケニア系(KY)とシンガポール系(SP)の成虫は,ペルメトリンに約300倍の抵抗性を示す。マイクロアレイ解析により,両系に共通してCyp9族の2つのシトクロムP450遺伝子に14倍から142倍の転写量比となる過剰発現が,またSPとKYのそれぞれ一方に,カルボキシルエステラーゼとグルコシル転移酵素の百倍前後の過剰発現が認められた。両系の抵抗性がP450阻害剤の共力効果により軽減することから,ペルメトリン代謝性を有する複数のP450遺伝子が抵抗性機構に含まれている可能性が示される。(ii)同蚊種の幼虫特異的過剰発現性によりピレスロイド抵抗性の原因となるCyp9m10 P450遺伝子:シス作用性の過剰発現性を示すハプロタイプは,転写開始点上流域にトランスポゾン(TE)の挿入のあるCu(+)型(アフリカ,アジア,北米での存在を確認),その遺伝子量が縦列重複により倍加しているD-Cu(+)型(アフリカ,中東,アジア),およびTE挿入のないCu(-)型(アジア)に大別された。前二群に関して,一つの祖先型ハプロタイプよりCu(+)が生じ,さらにその一つのCu(+)ハプロタイプからD-Cu(+)が派生したことが示される。Cu(+)ハプロタイプ群内にあ旨る転写開始点上流域の点突然変異を考慮すると,D-Cu(+)に至る分子進化系譜の中で少なくともシス作用性変異が3回蓄積され,段階的に過剰発現性が高まったことが示される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(i)ネッタイイエカのピレスロイド抵抗性系統成虫に過剰発現するいくつかのP450遺伝子とその他の酵素遺伝子を同定した。(ii)幼虫期特異的に過剰発現し幼虫のピレスロイド代謝抵抗性の原因となるCyp9m10に関し,同祖的遺伝子ハプロタイプ群の進化系譜に密接に対応する段階的な過剰発現の増大,ならびに,それらハプロタイプの世界的分布を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(i)ピレスロイド抵抗性系統成虫で過剰発現するP450遺伝子とその他の酵素遺伝子に関し,生化学的および遺伝学的な解析に基づき,ピレスロイド代謝性を示す分子種とその過剰発現の原因となる変異を特定する。(ii)幼虫期にCyp9m10の過剰発現をもたらすシス作用性変異に関し,最大の過剰発現性を示すの:Cyp9m10の縦列重複ハプロタイプ(遺伝子量倍化型)のそれぞれの遺伝子コピーの転写に及ぼす効果ならびに本ハプロタイプに隣接してクラスターを成す4つのCyp9m族遺伝子の転写に及ぼす効果を解析する。
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Research Products
(4 results)