2012 Fiscal Year Annual Research Report
殺虫剤抵抗性分子検出に向けての昆虫シトクロムP450過剰発現変異の研究
Project/Area Number |
22580064
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
冨田 隆史 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (20180169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛西 真治 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (80332360)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 殺虫剤抵抗性 / シトクロムP450 / マイクロアレイ / ネッタイイエカ / ピレスロイド |
Research Abstract |
成虫の選抜によりペルメトリンに対して千倍以上の抵抗性を示すようになったネッタイイエカのKenya系統(KY)とSingapore系統(SP)を使い,ピレスロイド抵抗性蚊成虫において代謝抵抗性の原因となるシトクロムP450 (450)遺伝子を探索するために,マイクロアレイ解析を行った。両系統で雌成虫で有意に感受性系統との相対的転写レベルにおいて2倍位上の高発現性を示すそれぞれ10個と4個のP450遺伝子の内,CYP9M10-13の4遺伝子座からなるCYP9M亜族ゲノムクラスタに含まれるCYP9M10はKYで最も高発現性(16.9倍)を,またSPで3番めに高発現性(13.8倍)を示すP450遺伝子であった。一方,CYP9M12はSPで最も高発現性(61.3倍)を示した。幼虫の選抜によりペルメトリンに対して千倍以上の抵抗性を示すようになったJPP系統の幼虫では,殺虫剤感受性系統に比較して,CYP9M10が114倍,CYP9M12が5.9倍の高発現性を示した。CYP9M10に関しては次のことが明らかにされている。JPPのCYP9M10過剰発現性は,シス作用性変異に起因し,ピレスロイド抵抗性と遺伝学的に強く連鎖する。CYP9M10はペルメトリン代謝性を示す(Wilding et al., 2012)。JPPのCYP9M10転写開始点上流域にトランスポゾン配列CuRE1の挿入があることに加え,この変異に連なる構造遺伝子は縦列重複しているという特徴(D-Cu(+)構造)をもつ。D-Cu(+)構造をもつことで分類されるCYP9M亜族クラスタのハプロタイプ群は,KYとSPの殺虫剤選抜前のコロニーにも高い頻度で含まれていた。以上をふまえると,少なくともCYP9M10とCYP9M12の過剰発現性は幼・成虫期においてピレスロイド抵抗性要因となる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)