2012 Fiscal Year Annual Research Report
ダイズ根粒菌の地理的分布と環境適応機構に関する研究
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22580068
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
佐伯 雄一 宮崎大学, 農学部, 教授 (50295200)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ダイズ根粒菌 / Bradyrhizobium / 微生物生態 / 遺伝子多様性 / ニッチ |
Research Abstract |
アメリカの国土および主要ダイズ生産地の緯度は、日本とほぼ一致している。日本のBradyrhizobium属土着ダイズ根粒菌の地理的分布は、日本の北から南へと緯度に沿ったニッチの変遷を示すため、アメリカの土着ダイズ根粒菌の地理的分布を調査することは、ダイズ根粒菌の生態を理解する上で重要な知見となり得る。本研究では、アメリカの土壌とフィリピンの土壌から、それぞれRj遺伝子型の異なるダイズ品種を栽培して分離した土着ダイズ根粒菌の地理的分布と群集構造解析を行い、緯度によるニッチの変遷について調査した。 アメリカ土壌から分離したダイズ根粒菌の16S-23S rDNA ITS領域のPCR-RFLP法に基づいた系統分類の結果、B. japonicumのクラスターとB. elkaniiのクラスターに分類された。多様性解析の結果、北部とその他の地域において群集構造が大きく異なることが示された。また、地理的分布解析の結果は、緯度と根粒菌群集間で高い正の相関を示したが、日本ほど高い相関は得られなかった。日本ではBj123、Bj110、Bj6、Be76が主要クラスターとしてニッチの変遷を示すのに対して、アメリカではBj123とB. elkaniiが主要クラスターとして変遷し、特に、中部でBj110の優占度が低く、B. elkaniiの優占度が高かった。中部以南でB. elkaniiの占有率が高い理由として、日本本土に自生していないB. elkaniiを好むマメ科植物がアメリカで広く分布していることが影響し得る可能性がある。また、フィリピン土壌から分離した根粒菌は、B. elkaniiに近縁であるが、これまで分離された根粒菌とは別のタイプの根粒菌であった。これらのことから、気候・宿主等に起因する変動は見られるものの、緯度に沿ったダイズ根粒菌のニッチの変遷が地球規模で起きていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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