2011 Fiscal Year Annual Research Report
SIP法を用いた植物根圏における微生物-線虫群集間の相互関係解明と土壌環境指標化
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22580069
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
境 雅夫 鹿児島大学, 農学部, 教授 (20225775)
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Keywords | 土壌センチュウ / 土壌微生物 / DGGE / 18S rDNA |
Research Abstract |
植物根圏に生息する微生物群集は、植物根に対する直接・間接の作用により植物の生育や健全性に大きな影響を及ぼしている。したがって、この根圏微生物群を植物の生育や健全性にとって好適な状態に調節する、あるいは好適環境の指標として利用するという観点から、その多様性や群集構造(微生物群の種の構成)に関する研究への関心は高い。そこで本研究では、根圏における微生物-線虫群集構造解析法の確立による微生物補食線虫の群集構造解析法の確立、微生物群集・線虫群集構造の植物根圏環境の指標としての活用の可能性解明を目的としている。本年度は.、土壌に添加された農薬が土壌線虫群集構造に及ぼす影響について、これまでに確立したDGGE法を用いて解析を行った。 3種類の農薬(モスピラン、オルトラン、ネマトリン)をそれぞれ混和した土壌を培養し、経時的に線虫数を計数したところ、すべての農薬処理区においてコントロール区と比較して、培養7日目の段階で線虫数が減少した。その後若干増加するものもあったが、培養後期には線虫は減少した。しかし、これらの線虫群のサンプルから抽出したDNAをNS7gc/Nem58SrでPCR増幅しDGGE解析した結果、特定のバンドにおける大きな変化は認められなかった。そこで、異なるプライマーセットを用いて解析を行ったが、同様に大きな変化は確認されなかった。すなわち、害虫防除に用いられる農薬が土壌線虫対しても影響を及ぼすこと、これらの農薬の線虫の種構成に対する特異性は認められないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的とした土壌環境の変化が線虫群集構造に及ぼす影響の評価を実施できたため、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
根圏における線虫群集構造を根圏微生物の調節や根圏環境の評価指標として利用するため、質量分析装置を用いた線虫の同定解析方法を検討する。
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