2011 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウム障害を受けている植物根の回復機構の解明
Project/Area Number |
22580072
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Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
松本 英明 吉備国際大学, 保健福祉研究所, 研究員 (80026418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元田 弘敏 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 講師 (30278999)
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Keywords | 酸性土壌 / アルミニウム障害 / 回復機構 / 酸化ストレス / 根 |
Research Abstract |
昨年までに回復処理のモデル系としてエンドウ幼植物のAl処理根をAl含まないCa培地に移した回復根と処理を継続した継続処理根を比較すると回復根のRRGは継続根のRRTの2倍であった。またその過程でエバンスブルー(EB)染色により帯状のEBで強く染まる部位[ZR]とEBでほとんど染色されないRRが認められ,ZRは回復根でも消滅せず、RRの部位は回復過程で伸長することを認めた。23年度はAl障害・回復過程で認められる構造的な変化に酸化的ストレスが関係していることを生理学的に解明した。すなわちDHE染色によりROS(reactive oxygen species)が継続処理根で増加し回復根で減少した。さらに根端からの酸素ラヂカル分泌量を調べた結果、継続処理根で分泌が最大であり回復根で減少した。また分泌した酸素ラヂカルはSOD(superoxide dismutase)の添加により消滅した。H202は酸素ラヂカルからSODにより生成されるのでその活性を測定した。継続処理根で約40%増加し、回復根では減少した。Alによる伸長阻害の一因は細胞壁におけるリグニンの増加と考えられており染色および化学分析いずれの方法でもリグニンは継続処理根で増加し回復根で減少した。酸素ラヂカル,H202,リグニンは根表層や比較的、外側の皮層に存在し、中心柱の近傍では認められずこれらの集積がAlにより破裂する(rupture)根の部位と一致した。回復根ではRR部位、即ち中心柱に相当する部位が伸長した。ZRは死細胞を含むので,ZRがプログラム細胞死と類似した作用でAlの侵入を防御する役割を果たし,ZRの下層の部位(中心柱)がAlが存在していても伸長機能を保持し、毒性Alが除去された回復根では伸長していると思われた。これらの考えはPlant Science誌の総説に記載され、詳細な結果は投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エンドウ根のAl障害の回復機構について単に根の伸長率を測定するだけでなく根の構造変化をエバンスブルーを用いて詳細に検討することにより回復過程にプログラム細胞死が関与している新たな仮説を提唱する事が出来た。また生理学な側面からAl障害一回復機構に酸化ストレスが関与していることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
Al障害-回復機構において酸化ストレスが関与している事を明らかにしてきた。酸化ストレス(ROS)の内で重要な位置を占めている酸素ラヂカルの生成機構が本課題においては原形質膜に存在するNADPHオキシダーゼによる可能性を示したので、その活性変動について検討する。一方、根における酸素ラヂカルはミトコンドリアの機能阻害によっても生成される可能性があるので、その点について根の呼吸活性の変動から検討を加える。さらに障害-回復機構における酸化ストレスの作用の詳細を理解するためフェニルプロパノイド代謝についても検討を加え回復過程における酸化ストレスの関与について理解を深める。
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