2011 Fiscal Year Annual Research Report
パントテン酸キナーゼによる微生物の細胞内コエンザイムA調節機構の解明
Project/Area Number |
22580075
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
長南 茂 茨城大学, 農学部, 准教授 (70312775)
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Keywords | パントテン酸キナーゼ / パント酸キナーゼ / コエンザイムA / 古細菌 / 真正細菌 |
Research Abstract |
本研究は、コエンザイムA(CoA)生合成経路の鍵酵素であるパントテン酸のリン酸化反応を触媒するパントテン酸キナーゼ(CoaA)を解析し、微生物のCoA生合成経路の調節機構を解明することを目的としている。特に、真正細菌の原核I型および古細菌の原核IV型CoaAに焦点を合わせた。 原核1型CoaAは一般に最終生産物であるCoAに感受性があると考えられてきたが、高熱好酸性古細菌由来CoaAの解析で、CoAに感受性を示さない原核I型CoaAの存在が示唆された。これはCoA結合部位のPhe247がLeuに置換されていることが原因と考えられたので、Leu247型CoaAの代表としてBacillus subtilisおよびLactcoccus lactis由来の組換え酵素を用いて解析した。その結果、予想に反してB.subtilisおよびL.Lactis由来CoaAはそれぞれ97%および82%阻害された。したがって、Phe247型であれ、Leu247型であれ、原核I型CoaAに属する酵素は最終生産物阻害を受け、この阻害により細胞内CoA濃度は厳密に調節されていることが明らかとなった。 原核I型CoaAに関しては、メタン生成古細菌漉Methanospirillum hungateiを材料にし、昨年度までに古細菌固有のタンパク質であるCOG1829とCOG1701が共同して4'-ホスホパントテン酸を供給し、COG1829はパント酸のリン酸化反応を触媒するパント酸キナーゼ(PoK)として機能していることを明らかにした。今年度は、まずCOG1701をホスホパントテン酸シンテターゼ(PPS)と同定すると共に、両酵素の諸性質を明らかにした。また、COGI829およびCOG1701は古細菌に広く分布するため、古細菌はCoaAではなく、PoKとPPSを利用する独自の経路を持っていることも解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
パントテン酸キナーゼおよびパント酸キナーゼを解析することにより、微生物(原核生物)のコエンザイムA生合成経路の調節機構が明らかになりつつある。平成24年度に前記酵素の細胞内での生理的役割を解析し、本申請課題の最終目標である「微生物の細胞内コエンザイムA濃度の調節機構の解明」を達成する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに、原核生物を対象に研究を行い、コエンザイムA生合成経路の鍵酵素であるパントテン酸キナーゼおよびパント酸キナーゼを同定し、酵素学的諸性質を解明した。平成24年度はゲノムDNA上にパントテン酸キナーゼ遺伝子を2つ持つ微生物を対象に研究を行い、それら2つの酵素の細胞内での生理的役割を解析し、微生物のコエンザイムA生合成経路の調節機構を解明する予定である。
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Research Products
(3 results)