2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規芳香族酸トランスポーターの解明と次世代有用ポリマー原料生産への応用
Project/Area Number |
22580077
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
政井 英司 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20272867)
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Keywords | フタル酸類 / テレフタル酸 / Comamonas属細菌 / 基質取り込み / 有用物質生産 / 生分解性ポリマー |
Research Abstract |
工業的に安価且つ大量に生産されるテレフタル酸(TPA)からプロトカテク酸を経由して生分解性・高機能性有機材料の原料となる2-ピロン-4,6-ジカルボン酸(PDC)を生産するバイオプロセスを構築する上で、基質の細胞内取り込みが障壁となることが示唆されている。これまでにTPA分解菌Comamonas sp.E6株において、TPA分解系遺伝子群(tph遺伝子群)の機能が明らかにされてきたが、TPAの細胞内への取り込み系についてはほとんど知見が得られていなかった。しかしtph遺伝子群中のtphCが、2つの膜タンパク質成分と基質結合タンパク質(SBP)から構成されるtripartite tricarboxylate transporter(TTT)familyのSBPと20%以上の同一性を示したことから、E6株のTPAの取り込みにTTT familyに属するトランスポーターが関与することが示唆された。本研究では、E6株のTPA取り込みに関与する遺伝子の単離と解析を行った。はじめにComamonas testosteroni KF-1株のゲノム配列中に、TTTシステムの膜成分遺伝子tctBAと相同性を示す2セットの遺伝子を見いだした。KF-1株の配列情報を利用して、E6株から2セットの相同遺伝子tctBAとtpiBAを単離した。tctAとtpiAの破壊株を作製し、解析した結果、tctA破壊株は、TPAでの生育能を失わず、クエン酸での生育能を欠損した。一方、tpiA破壊株は、TPAでの生育能を完全に失った。^<14>C標識したTPAの取り込み実験から、E6株のTPA取り込みにtpiAが必須な遺伝子であることが明らかとなった。
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