2011 Fiscal Year Annual Research Report
LysRタイプ転写調節因子による遺伝子発現調節機構と自己認識基盤の解明
Project/Area Number |
22580078
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小川 直人 静岡大学, 農学部, 教授 (60354031)
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Keywords | 遺伝子 / 発現制御 / LysRタイプ転写調節因子 / 応用微生物 / 細菌 / 分子生物学 / 転写 / プロモーター |
Research Abstract |
昨年度、DNA結合能等への重要性を明らかにしたCbnRのN末端側ターン領域のアミノ酸のうち、Gln29は既知の全てのLysRタイプ転写調節因子(LTTR)で保存されており、とくに重要であると考えられた。このGln29を他の19種類のアミノ酸に置換した変異型CbnRを解析した結果、これら変異型CbnRはプロモーターDNAへの結合能を失って転写活性化能を有しないか、もしくはDNA結合能がより強くなる場合でも、転写活性化能を失うことが判明した。このことから、この位置がGlnであることがTTRの機能に必須であり、DNAとの適度な結合力がLTTRの転写活性化能に必要であることが判明した。 一方、CbnRと類縁のLTTRであり、安息香酸分解経路の転写活性化を行うCbeRについて、ランダム変異導入により変異型CbeRを作製して誘導物質認識に関与する部位を同定した。その結果、CbeRで誘導物質の認識に関与すると考えられたArg160とTyr293はCbeRと最も相同性が高いLTTRのBenMでは保存されているが、CbnRでは保存されていなかった。これら3つのLTTRがいずれもムコン酸を誘導物質として認識するにも関わらず、認識に関与するアミノ酸が必ずしも同じではないことから、誘導物質の認識に関与するアミノ酸は、LTTR内で比較的類縁度が高い因子間でも必ずしも保存されていないことが判明した。 CbnRとcbnAプロモーター断片との共結晶作製に供試するために、昨年度野生型のcbnAプロモーター断片の大量調整用構築物を作製したのに引き続いて、本年度、変異型プロモーターM3について、同様に長さ63bpまたは70bpのDNA断片を縦列に16個クローニングしたプラスミドを構築した。またこれらのプラスミドの抽出のための大腸菌の培養条件を明らかにし、液体クロマトグラフィーによる精製の条件を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CbnRの立体構造から推定される、DNA結合に関与するアミノ酸及び誘導物質認識に関与するアミノ酸について、これを他のアミノ酸に置換してDNAとの結合能や転写活性化能を解析する実験は順調に進行している。CbnRとプロモーターDNAとの共結晶作製検討については、DNA大量調整に使用する系の作製は順調に進行しているが、一方、CbnRタンパク質について、当初用いる予定だったヒスチジンタグ付きのCbnRでは条件を適合させにくいことがわかり、nativeな状態のCbnRを発現・精製が必要であることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
CbnR等のアミノ酸を置換した変異体を使用する、DNA結合部位及び誘導物質認識部位の解析については、他のLTTRとの比較解析も含めて、これまでの結果をさらに詳細に解析して、LTTRに普遍的な機構やCbnRに特徴的な点などを明らかにする。CbnRタンパク質についてnativeな状態のCbnRの発現・精製が必要であることが判明したことから、そのための宿主・ベクター系を検討、選定して、培養、精製等の条件を明らかにする。このCbnRの発現・精製の検討については、これに必要なノウハウを蓄積している本研究め研究協力者、千田俊哉(産業技術総合研究所主任研究員)の協力により研究を進める。
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Research Products
(3 results)