2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規チオシアネート取り込み輸送体の機能的構築および共役活性評価
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22580082
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒川 孝俊 京都大学, 医学研究科, 研究員 (30523766)
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Keywords | ABCトランスポーター / 微生物代謝 / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
本課題では、Thiobacillus属細菌のチオシアネート加水分解酵素下流遺伝子群の産物を機能的複合体として同定するため、オペロンを構成する4種の遺伝子(orf2,3,4,5)の大量発現系構築を進めている。本年度は以下のように発現条件検討を行った。 (1)膜外ドメイン遺伝子産物:ABC輸送体膜外ドメインに相当するorf2およびorf3について、大腸菌や出芽酵母を宿主として可溶性発現を試みた。大腸菌では各遺伝子発現系を別個に構築した場合と一つのポリシストロニック発現系として導入した場合においてスクリーニングを行った。いずれの場合でも遺伝子産物は封入体発現し、これにグアニジンまたはグアニジン・アルギニン巻戻し系を適用することで可溶性画分内に獲得できることを確認した。また低温誘導プロモータ制御下に置くことにより両産物の発現量が飛躍的に増加することを見出した。出芽酵母-2μ系ベクターの組換え系においてはGAL1プロモータ下流に配列を挿入して誘導発現を行ったものの、可溶化性状は大腸菌宿主と同程度であった。さらにorf4遺伝子を同時に組み込み共発現を試みたが、発現プロファイルに大きな変動は生じなかった。 (2)膜内ドメイン遺伝子産物:膜貫通配列を有するorf4およびorf5については、C末にGFPを融合した形状でコンストラクトを構築し、膜画分での発現探索を継続して行った。大腸菌および出芽酵母宿主においてオペロン全長または両遺伝子を別途発現させた場合、さらに各遺伝子の末端配列トランケーションを試みたところ、それぞれ大腸菌で全長発現させた場合で収量が最も高く、GFP蛍光強度から見積もられる菌体内発現量は、orf4で100ug/L,orf5で20ug/Lであった。可溶化および精製を行うに際しては発現量向上が必要であると判断された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
orf2やorf3の大量調製系が得られたものの、想定していた可溶性の発現ではなく不溶性画分に発現すること、またorf4やorf5について予期していたとおりの収量が得られていないことにより、複合体の構築試験以降の計画実施に遅れが生じている。これは複合体を構成しないためにそれぞれのコンポーネントが正しいフォールディングを達成されないことに起因するものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は(1)各オペロン産物の大量発現・共発現と収量最適化、(2)複合体形成と構造形成確認、(3)輸送体の活性測定系の確立、を順次推進する。この目的を達成するため、orf2のリフォールド産物を用いてATP加水分解活性を確認するとともに、orf3の再構成タンパクにおけるSCN結合を逆相クロマトグラフ等の手段で評価する。また、orf5については遺伝子の読み枠シフトを考慮すると既解読配列より3'下流側に遺伝子が続くことも考えられるため、完全長配列の獲得を進め、それとorf2-4との共発現を行うことで収量向上を目指す。
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