2011 Fiscal Year Annual Research Report
有用物質産生へ向けたインドロカルバゾール生合成酵素反応機構の解析
Project/Area Number |
22580089
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
尾仲 宏康 富山県立大学, 工学部, 准教授 (80315829)
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Keywords | 放線菌 / インドロカルバゾール / 生合成 / 抗がん物質 |
Research Abstract |
インドロカルバゾールは5環平面構造をを有する天然化合物である。プロテインキナーゼにおいて、ATPのミミックとして働くことにより阻害活性が生じるため、抗ガン剤としての開発が期待できる。既に、我々によって生合成遺伝子がクローニングされている。本研究ではインドロカルバゾールに関わるユニークな生合成酵素の生化学的な解析を行い、新たなインドロカルバゾール化合物の合成を目指している。本年度は、インドロカルバゾール環形成の最後のステップを担うピロール環の酸化酵素StaC,RebCの解析を行った。この触媒反応を行う酵素はフラビン要求性のモノオキシゲナーゼであり、StaCはK-252cをRebCはarcyriaflavinを生成する。これら2種類の化合物の持つ生理活性はそれぞれ異なるため、ピロール環7位の酸化反応のコントロールが可能になれば、有用インドロカルバゾールの選択的な醗酵生産が期待できるが、これまでその選択的反応機構の詳細は不明であった。StaCとRebCの基質ポケット部の二重、三重アミノ酸置換変異株を作製し、酵素活性の測定を行った結果、StaC-N244R-V246T二重変異株はK252cよりもarcyriaflavin Aを産生するRebC型反応をするようになった。また、RebC-F216V-R239N変異株はarcyriaflavin AよりもK252cを産生するStaC型反応酵素へと改変された。以上のことから、StaC、RebC両者の基質ポケットの違いがピロール環の酸化部位の違いを生じさせていることを明らかにした。以上の結果より、StaCはmonooxygenase、RebCはdioxygenaseであり、基質ポケットの構造からRebCは既に1カ所酸化した基質を取り込むことができ、二回目の酸化反応をすることができると推定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は計画していたStaC,RebC酵素の反応機構について知見を得る事ができ、学術論文として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
StaDの反応機構の解明 StaDはIPA imineをCPAへと変換する巨大ヘム酵素であるが、相同性の高い既知蛋白はほとんど無く、その反応機構は明らかになっていない。また、ヘム酵素であるにもかかわわらず、レダクターゼ等の補酵素を要求しない。そのため、どのような仕組みでIPA imineを酸化しているのかを既知の酵素反応から類推することが困難であるため、組換えStaD蛋白を用いた生化学的な解析からその反応機構の解明を目指す。
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Research Products
(4 results)