2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22580091
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
阪本 龍司 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (10275282)
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Keywords | Penicillin chrysogenum / ペクチン / アラビノフラノシダーゼ / アラビナナーゼ / ガラクトシダーゼ / ガラクタナーゼ / フェルラ酸エステラーゼ / ラムノガラクチュロナン分解酵素 |
Research Abstract |
ペクチンはホモガラクチュロナン領域とラムノガラクチュロナン(RG)領域から構成されるヘテロ多糖であり、様々な修飾基をもつ。優れたペクチン分解能を有するPenicillium chrysogenumによるペクチン分解機構を明らかにする目的で、本研究課題では本ゲノム中に存在する47個の推定ペクチン分解系遺伝子の機能解析を目指している。23年度終了時までにアラビノフラノシダーゼ8種(AXS5,AFQ1,AFS1,AF43A,AF43B,AF43C,AF43D,AF51B)、エンドアラビナナーゼ4種(Abnc,AbnS1,ABN43B,ABN43E)、ガラクトシダーゼ4種(BGAL2B,BGAL35A,BGAL35B,BGAL35C)、エンドガラクタナーゼ1種(GAL1)、フェルラ酸エステラーゼ1種(FAE1)、RGリアーゼ1種(RGB1)、RGアセチルエステラーゼ2種(RGAE1,RGAE2)、不飽和RGハイドロラーゼ1種(RGH1)、ラムノシダーゼ1種(RHA1)、ペクテートリアーゼ1種(PEL3)、ペクチンリアーゼ2種(PNL1,PNL3)、ベクチンメチルエステラーゼ1種(PME2)の計27種のタンパク質の反応特性解析を行った。23年度の結果から、AF43AとBGAL35A、BGAL35Cについては新規な触媒能を有する遺伝子であることが明らかとなった。AF43Aはペクチン中の分岐アラビナンの側鎖に特異的に作用する新規酵素であり、BGAL35AはRGに結合するガラクトオリゴ糖に高活性を示すユニークな触媒能をもつ酵素であった。また、BGAL35Cはβ-1,4-ガラクタンに特異的に作用するエキソ型酵素であり、微生物起源では初めてのクローニングである。さらにガラクタン分解において、BGAL35AとBGAL35Cはエンドガラクタナーゼと相乗的に働き、本多糖を完全分解することを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題ではP. chrysogenumのゲノム中に存在する47個の推定ペクチン分解系遺伝子の詳細な機能解析を行うことを目標としているが、これまでに半数以上(27種)のタンパク質の酵素学的性質を決定できている。また、特異性の異なる様々な組換え酵素を獲得できたことから、反応特性解析に必要となる構造既知なペクチン系基質の調製が可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
・ペクチン分解系遺伝子の単離と大腸菌を宿主とした遺伝子発現:代表研究者は23年度までにP. chrysogenum 31B株より27種のペクチン分解系遺伝子を単離し、それらの大腸菌での発現に成功している。24年度は、残る20遺伝子の単離と発現を引き続き行う。 ・ペクチン系基質の調製および反応特性解析:ペクチンは複雑な構造をもつ高分子多糖であり、分解酵素の詳細な反応特性解析を遂行するためには様々な構造既知のペクチン系基質(例えば、アセチル化ホモガラクチュロナンやラムノガラクチュロナン)を調製する必要がある。これまでの研究成果により得られた様々な組換え酵素を用いて、種々の構造を持つペクチン系基質の調製し、これらの基質に対する詳細な反応特性解析(基質特異性や分解様式など)を行う予定である。最終的に得られる結果を統合することで、本菌が有するペクチン分解機構の解明を目指す。
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[Journal Article] High-resolution structure of exo-arabinanase from Penicillium chrysogenum2011
Author(s)
Sogabe Y., Kitatani T., Yamaguchi A., Kinoshita T., Adachi H., Takano K., Inoue T., Mori Y., Matsumura H., Sakamoto T., Tada T.
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Journal Title
Acta Crystallogr., Sect.D : Biol.Crystallogr.
Volume: 67
Pages: 415-422
DOI
Peer Reviewed
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