2011 Fiscal Year Annual Research Report
マルチ触媒ドメインを有する糖質加水分解酵素の構造と機能
Project/Area Number |
22580092
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
炭谷 順一 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (10264813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 重徳 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (90244665)
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Keywords | アミラーゼ / デンプン結合領域 / マルチ触媒ドメイン / 構造機能相関 |
Research Abstract |
本研究は,マルチ触媒ドメインを有する糖質加水分解酵素の存在意義を明らかにするとともに高効率糖質加水分解酵素を設計するための分子基盤を得ることを目標としている。今年度の研究成果は以下の通りである。 1.S. corchorusii由来細胞表層結合型アミラーゼ(CSAA)のドメイン解析 プルラナーゼ触媒ドメインPCDを欠失させたCSAA遺伝子について放線菌で発現させた結果,変異酵素は野生型酵素と同様に放線菌の細胞表層に局在したことからPCDは細胞表層への結合に関与しないものと判断した.変異酵素の諸性質を検討したところ,pHや温度に関するprofileに変化はないものの,プルランに対する活性が消失したこと,他のα-1,4結合を有する基質に対する比活性全体的に減少していることがわかった.今回欠失させたPCDが,α-1,6結合の切断以外にα-アミラーゼCDの効率的な触媒機能に対して寄与している可能性が示された. 2. P. polymyza由来β/α-アミラーゼにおけるβ-アミラーゼ触媒ドメインPpBCDのX線結晶解析 大腸菌で生産したPpBCDをシッティングドロップ蒸気拡散法によって単結晶を得,Spring8ビームラインBL17AにてX線解析強度データを収集し,1.95Aまでの反射データを用いて分子モデルを構築し,精密化を行った。PpBCDは他のβ-アミラーゼと同様(β/α)_8バレルを骨格とした構造を持ち,触媒残基と考えられるGlu163,Glu359を同定した。また解析の過程でCa^<2+>とCl^1が結晶に存在することが明らかとなり,相互作用するアミノ酸残基とともに同定したが,β-アミラーゼに結合したCl^1が見いだされたのは今回が初めての例である。また,X線小角散乱実験によって,PpBCDの平均構造はL字型をしており,PpBCDとSBDが相互作用していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CSAA遺伝子の放線機における発現で,プルラナーゼ触媒ドメイン欠失酵素以外,なかなかドメイン欠失酵素の生産ができない状況にある。C末端にHis-tagを付加しているが,分泌時に問題となっているのかも知れない。というのは,プルラナーゼ触媒ドメイン欠失酵素もC末端に付加したはずのHis-tagが切断されていることが判明したからである。
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Strategy for Future Research Activity |
CSAA遺伝子各種ドメイン欠失酵素の作製を急ぐ。対応策として,His-tagを付加しない形で発現させること,それがうまく行かない場合は,ドメイン全体を欠失させるのではなく,ドメインの機能を担っている重要なアミノ酸について変異を導入したドメイン機能欠失酵素を作製することで,CSAA全体に対する機能欠失ドメインの役割について明らかにする。
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Research Products
(5 results)