2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22580094
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
小田 忍 金沢工業大学, バイオ・化学部, 教授 (00503963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀邊 英夫 金沢工業大学, バイオ・化学部, 教授 (00372243)
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Keywords | 糸状菌 / 界面 / マイクロスフェアー / 発酵 / 微生物変換 |
Research Abstract |
(1)比較的親水性の高いpolyacrylonitrile(PAN)製中空マイクロスフェアー層にpolystyrene(PS)等の疎水性微粒子を配合させた場合、昨年度の水酸化活性の還元に加えて、benzilの不斉還元活性とβ-caryophylleneの位置・立体選択的エポキシ化能、さらには6-pentyl-α-pyrone発酵生産能も向上することを確認した。配合する疎水性微粒子の粒径と配合比を変動させて得られた結果より、糸状菌を取り巻く微粒子層の疎水性が高くなるほど糸状菌の増殖性が向上し、さらに水酸化、還元、エポキシ化等の微生物変換活性や6-pentyl-α-pyrone等の発酵生産能が大きく向上することを確認した。 (2)昨年度において、PAN層にアニオン交換樹脂を配合することにより、糸状菌の水酸化活性が著しく向上することを見出したが、今年度は、benzilの不斉還元とβ-caryophylleneの高選択的エポキシ化、並びに6-pentyl-α-pyroneの発酵生産に対する影響を調べた。その結果、発酵生産能はアニオン交換樹脂の配合で水酸化活性と同様に向上することが確認されたが、その効果は比較的弱かった。一方、還元能とエポキシ化能に関しては、アニオン交換樹脂微粒子の配合によって大きく低下することが明らかとなった。活性と増殖性の低下の度合いは配合したアニオン交換樹脂のアニオン交換容量と高い逆の相関関係が認められた。このような、微生物種あるいは反応種によって界面の荷電状態の影響が大きく異なる現象は、学術的にも産業的にも非常に興味深い現象であり、さらに詳細な検討が必要であると思われる。 (3)その他、比較的親水性の高いPAN微粒子層中で増殖させた担子菌による(-)-β-caryophyllene oxideの高濃度生産に成功したが、得られた産物蓄積量は、その産物の糸状菌に対するMIC値の1000倍を超えるという驚異的な濃度となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
糸状菌による発酵・微生物変換能に対する界面物性の変動効果を調べるという目標に対して、疎水性、官能基種、荷電状態等の物理化学的諸性質を変動させ、増殖性、形態分化、水酸化、還元、エポキシ化、発酵といった多くの性質の変化について有益な知見が多々得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り今年度は、疎水性と正荷電の両者の付与効果を確認することを第一目標とする。さらに、昨年度までに実施した実体顕微鏡レベルでの観察では見極めが困難であった、各種界面における糸状菌の形態変化の詳細について今年度は走査型電子顕微鏡観察を実施し、界面物性が糸状菌の菌形態にどのような影響を与えるかについての検討を開始したい。
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