Research Abstract |
本研究では,加水分解酵素(アノマー保持型・反転型の両者とも)を改変により高度に転移酵素化し,天然材料からの有用オリゴ糖の効率的生産への応用利用を示す.本年度は,まず加水分解酵素と高い配列相同性を有する糖転移酵素を詳細に解析し,糖転移に関わる構造(ホットスポット)の特定を実施した 1.アノマー保持型:マルトオリゴ糖・イソマルトオリゴ糖等の非還元末端αグルコシド結合に作用する加水分解酵素(αグルコシダーゼ,OG酵素,DG酵素)に一次構造上良く類似する糖転移酵素I6GTの,糖転移に強く関与する構造因子ホットスポットを見いだした.すなわち本スポットのアミノ酸を改変した変異体16GTの転移活性は大きく変化した 2.アノマー反転型:アノマー反転型水解酵素は一般に転移反応を触媒しない.しかし申請者らは専ら糖転移反応を触媒する酵素(DD酵素)が,アノマー反転型加水分解酵素(GA酵素)に配列類似を示すことを見いだした.本年は,DD酵素について,次の2点を明らかにした (1)活性に必須な最小コア構造:DD酵素は,一次配列および二次構造予測により,3ドメイン構造であると予測される.(Nドメイン,GA酵素様中央ドメイン,Cドメイン).両端のドメインの機能は不明であるが,欠失実験により,Cドメインは活性には必須ではないことがわかった.Cドメイン欠失酵素は,取扱が容易であり,大腸菌大量調製が可能なことから,本DD酵素の解析に有用である.結晶化解析用の高度精製標品調製法を確立した.(2)推定触媒残基変異酵素の解析:GA様中央ドメインの,GA酵素触媒残基相当アミノ酸残基の変異酵素を作成し,解析した.該当アミノ酸残基変異酵素は,全く活性を示さず,すなわちDD酵素においても活性に必須であることがわかった
|