2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22580102
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中川 寅 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (10281049)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | (プロ)レニン受容体 / レニン・アンジオテンシン系 / 細胞内局在 / 小胞体 / トランスロケーション |
Research Abstract |
(プロ)レニン受容体(PRR)は昇圧酵素レニンならびにその前駆体プロレニンをリガンドとする1回膜貫通型受容体である。本研究ではこれまでに、小胞体に存在する新規PRR結合タンパク質を同定しており、その結合特性と機能の解析を進めている。本年度は、PRRとPRR結合タンパク質の結合特性を解析した。FLAGタグを付加したPRRを一過性に発現させた293T細胞から細胞溶解液を調製し、FLAGタグを結合するアフィニティー担体を用いてプルダウンアッセイを行った。結合画分に含まれるタンパク質をSDS-PAGEで分離後、ウエスタンブロットにより結合タンパク質の結合量を解析した。PRRとPRR結合タンパク質の結合はCa2+依存的であり、Ca2+の見かけのKd値は0.8 mMであった。そこで小胞体内腔のCa2+濃度を低下させる作用をもつタプシガルギンで細胞を処理して同様の実験を行ったところ、PRRに結合するPRR結合タンパク質量は減少した。このことは、小胞体においてPRRとPRR結合タンパク質の結合がCa2+濃度によって調節されていることを示唆するものであり、今後、PRRの細胞内でのトランスロケーションを解析する上で重要な知見である。 PRRは多量体(二量体)を形成することが報告されているが、多量体化に重要な領域は明確になっていない。多量体化に係わる領域は、PRRと新規PRR結合タンパク質との結合を考察する上でも重要である。そこで、GSTをキャリアータンパク質として、PRR各ドメインについてのGST融合タンパク質を作製し、プルダウンアッセイにより解析した結果、PRRの細胞外ドメインが多量体化に重要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究の目的」に記載した3つの具体的目的のうち、「(1)PRRと結合する推定上のタンパク質」の同定に成功し、「(2)PRR結合タンパク質とPRRの結合特性」に関して、結合がCa2+依存的であることを見出しており、ここまでの目的をおおむね達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書の「研究の目的」に記載した具体的目的の「(2)PRR結合タンパク質とPRRの結合特性」に関して、PRRのどの領域に結合タンパク質が結合しているのかを明らかにする。また、具体的目的の「(3) PRR結合タンパク質によるPRR機能の調節機構」を明らかにするため、細胞をタプシガルギンで処理して小胞体内腔Ca2+濃度を低下させることによりPRRとPRR結合タンパク質を解離させ、PRRが小胞体から細胞表面への移行が起きるかどうかを解析する。
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