2010 Fiscal Year Annual Research Report
食品イソチオシアネート類による抗糖尿病効果の作用機序の解析
Project/Area Number |
22580125
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
伊藤 芳明 岩手大学, 農学部, 准教授 (50312517)
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Keywords | イソチオシアネート / 糖尿病 / 脂肪細胞 / インスリン / わさび |
Research Abstract |
本研究は本わさびに含まれるイソチオシアネート化合物である6-methylsulfinylhexyl isothiocyanate(6MSITC)の糖尿病緩和効果に関する知見を基に、その抗糖尿病効果の機序を明らかにすることを目的としている。本年度は、まず糖代謝制御に関わる脂肪組織に対する効果を明らかにするために、6MSITCや他のイソチオシアネート類で処理したときの3T3-L1脂肪細胞の分化や脂肪蓄積に対する影響を検討した。その結果、6MSITCは脂肪細胞の分化や脂肪蓄積を抑制し、脂肪蓄積に伴って増加する酸化ストレスを抑制する効果を示すことが明らかになった。このとき同じイソチオシアネート化合物でも、チオ体である6-methylsulfenylhexyl isothiocyanateでは効果がなかった。続いて、肥満や糖尿病態で見られる、脂肪組織でのアディポサイトカイン発現異常の要因となる脂肪酸ストレスに対する6MSITCの効果を検討した。その結果、リノール酸負荷により増加した脂質の蓄積は、予め細胞を6MSITC処理をすることで減少し、また酸化ストレスの上昇も軽減される傾向が認められた。さらにその際のアディポネクチンの発現を検討したところ、6MSITC処理により発現の上昇が認められ、6MSITCにより脂肪細胞のアディポサイトカイン発現が改善される可能性が示唆された。 一方、他の糖代謝調節に関わる組織への6MSITCの効果を検討するために、骨格筋のモデル細胞であるL6細胞を用いて、グルコース取り込み活性を検討したところ、6MSITC単独あるいはインスリン共存下のいずれにおいても積極的な取り込み活性の促進は認められなかった。従って、6MSITCの糖尿病態緩和効果の背景の1つには、脂肪組織に対する効果が関与している可能性が考えられた。
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