2010 Fiscal Year Annual Research Report
可食性バイオハイブリッド創出による食品タンパク質の低アレルゲン化
Project/Area Number |
22580126
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
服部 誠 東京農工大学, 大学院・農学研究院 (40221501)
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Keywords | バイオハイブリッド / 食品タンパク質 / 低アレルゲン化 / 機能改変 / 高機能化 |
Research Abstract |
牛乳中の主要な乳清タンパク質であるβ-ラクトグロブリン(β-LG)は、必須アミノ酸を豊富に含む良質のタンパク質であり、乳化性、ゲル化性、気泡性といった機能特性に優れ、有用な疎水性のリガンド結合能を有しており、優れた食品素材となる可能性を有している。しかしながら、塩存在下、酸性条件下で乳化性が低下すること、さらに強力なアレルゲン性を有することから、その利用には請願がある。そこで、本研究では、β-LGの機能改変を目的として、実際の食品への応用可能な方法として、微生物由来のトランスグルタミナーゼ(MTGase)を用いて、ポリリシン(PL)とのバイオハイブリッドを作出を試みた。 β-LGは、生脱脂乳よりArmstrongらの方法により単離し、DEAE-Sepharose Fast Flowを用いた陰イオン交換クロマトグラフィーにより精製を行った。MTGaseは、味の素株式会社製のアクティバTG-Kを用いた。β-LG-PLハイブリッドの調整条件を検討し、β-LG:PLのモル比が1:9になるように、混合し、2,000unit/g proteinとなる条件でMTGaseを加え、37℃で48時間反応させることにより、ハイブリッド分子の調製に成功した。ハイブリッド分子の精製は、複数回のCM Sepharose Fast Flowを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー、および透析を組み合わせることにより行った。ハイブリッド生成の確認は、SDSポリアクリルアミドグル電気泳動により行った。得られたハイブリッド分子の組成をアミノ酸分析により行い、β-LG:PL=1:1.2であることが明らかとなった。 以上のように、本年度は、MTGaseを用いてβ-LG-PLハイブリッドの作出に成功した。得られたハイブリッド分子の構造、機能について、今後検討を進めていく予定である。
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