2011 Fiscal Year Annual Research Report
可食性バイオハイブリッド創出による食品タンパク質の低アレルゲン化
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22580126
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
服部 誠 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (40221501)
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Keywords | バイオハイブリッド / 食品タンパク質 / 低アレルゲン化 / 機能改変 / 高機能化 |
Research Abstract |
牛乳中の主要な乳清タンパク質であるβ-ラクトグロブリン(β-LG)は、必須アミノ酸を豊富に含む良質のタンパク質であり、乳化性、ゲル化性、気泡性といった機能特性に優れ、有用な疎水性のリガンド結合能を有しており、優れた食品素材となる可能性を有している。しかしながら、塩存在下、酸性条件下で乳化性が低下すること、さらに強力なアレルゲン性を有することから、その利用には制限がある。そこで、本研究では、β-LGの機能改変を目的として、実際の食品への応用可能な方法として、微生物由来のトランスグルタミナーゼ(MTGase)を用いて、ポリリシン(PL)とのバイオハイブリッドを作出を試みた。 昨年度、条件を検討し、β-LG:PL=1:1.2の組成のハイブリッド分子を得た。 このハイブリッド分子の等電点を等電点電気泳動により調べた結果、複合体では等電点が塩基性側へ大きくシフトし、BLGとPLが共有結合したことが明らかとなった。さらに、ハイブリッド分子の構造について、自然蛍光測定、CDスペクトル測定、レチノール結合能測定、抗BLGモノクローナル抗体を用いたELISAにより、ハイブリッドの詳細な解析を行った。その結果、ハイブリッドではPLの結合による若干の構造変化が認められたが、ネイティブBLGの全体的な高次構造はほぼ維持していると考えられた。 続いて、BLG-PLハイブリッドの機能の評価を行った。 乳化性は濁度法によって評価した。その結果、ハイブリッドでは、BLGの乳化に不利な酸性条件下および塩存在下においても高い乳化性を持つことが明らかとなった。 免疫原性については、2系統のマウス(BALB/c、C57BL/6)を免疫し、得られた血清を非競合法ELISAに供して特異抗体量を測定することで評価した。いずれの系統においても、ハイブリッド投与時は抗BLG抗体産生性が有意に低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究当初より、無理のない計画を立てて研究を実施しており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に則り、着実に研究を遂行する。
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