2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22580127
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
高橋 幸資 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30163257)
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Keywords | 澱粉の糊化、老化制御 / リパーゼ / アシル化 / 脂肪酸結合澱粉 |
Research Abstract |
澱粉(PS)にオレイン酸(OA)を結合して低膨潤で両親媒性の澱粉(OA=PS)を創出するために、当初計画の通り本年度もOA-PSの調製を行い、PSの結晶性に対する影響および粘度測定のデータ再現性を検討し、また、OA-PS糊液の水分散逸挙動の測定方法の確立を行うこととし、具体的には以下の通り研究を推進した。 リパーゼAY「アマノ」30G溶液をPSに加え、エタノール脱水してリパーゼ含有PSを得、脱水ヘキサン中でOAを結合してOA-PSを調製した。OA-PSのX線回折を測定した結果、native P)Sと回折パターンは変わらず、ピーク強度も同様であったので、調製中過程でPSの結晶構造の変化はないと考えられた。次いで、110℃で30分間500rpmで撹拌しながら加熱し顕微鏡観察した結果、OA-PSでは、一部膨潤粒の残存が確認できたので、目的に沿って準レトルト耐性が付与できたと考えられた。 さらに、ラッピッドビスコアナライザーでnative PSの粘度を繰返し測定し、測定データの再現性を条件の検討を行った結果、ピーク粘度はバラツキなくほぼ完全に一致したので、以後の測定は1回のみで信頼できるデータであることを確認した。また、水分散逸挙動測定では、条件を種々検討した結果、ポリプロピレン小遠心管にnative PSを100mg秤取り、7mLの蒸留水を加えてドライブロックバスを用いて100rpmで撹拌しながら100℃で加熱し、経時的に重量を測定する方法で、純水とnativePSの明確な違いが再現性よく測定ができることが解り、測定法が確立できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、リパーゼを用いて脂肪酸を澱粉に結合させ、低膨潤かつ低粘度で、両親媒性の澱粉とすることである。H22年度にリパーゼの逆反応で澱粉にオレイン酸が結合できること、H23年度には結合させる過程で澱粉の検証構造の変化をきたさないこと、準レトルト処理でも無限膨潤せず膨潤粒が一部残存でき、澱粉の粘度測定の再現性が得られ、澱粉糊液の水分散逸性測定法が確立できたので、H24年度には研究の完結が見込めるから。
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Strategy for Future Research Activity |
測定法等が確認できたので、当初の計画通り、最終年にはオレイン酸結合澱粉が高い糊化温度をもち、低膨潤・低溶解性で、粘度も低く、糊液の水分散逸性も優れていることを確認し、また、レトルト処理した試料溶液を用いて表面張力を測定し、両親媒性があることを実証して、研究を完結する。
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Research Products
(1 results)