2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生抑制作用を有する食品機能成分の多機能性の解明と応用研究
Project/Area Number |
22580130
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松原 主典 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (90254565)
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Keywords | 食品機能成分 / 血管新生 / 血管内皮細胞 / 神経細胞 / 酸化ストレス / 神経毒1 |
Research Abstract |
疫学研究や実験研究により、ヒトの健康維持に役立つ食品機能成分に共通する生理作用として、血管新生抑制作用が示されている。また、脳疾患予防に血管新生抑制物質が有効であることも明らかになりつつある。一方、血管新生抑制作用を有する食品機能成分がどのようにして様々な疾病のリスクを下げるのかについては未解明のままである。そこで、本研究では、その作用機序解明と血管新生抑制成分の脳疾患予防効果の可能性について以下の研究を遂行した。 ・血管新生抑制作用を有する食品機能成分及びその誘導体をヒト血管内皮細胞に暴露し、変動する遺伝子数種類について定量RT-PCR法により、またタンパク質発現量はウエスタンブロット法により定量した。更に、幾つかの遺伝子についてはRNAi法による発現抑制実験を行った。その結果、同じ血管新生抑制作用を有する食品成分でも、分子レベルでの作用機序は異なる可能性が示唆された。また、これらの成分によって発現が変動する遺伝子は血管新生との関連性も示された。今後は、分子レベルでの作用の違いと生理機能の差について検討する必要がある。 ・血管新生抑制作用を有する食品成分及びその誘導体の神経細胞保護効果について検討を行った。実験に用いた細胞はSH-SY5Y細胞で、この細胞に酸化ストレス及び神経毒を暴露し、その保護効果を検討した。興味深いことに、酸化ストレスに対しては強い保護作用を示した成分でも、神経毒に対しては保護作用を示さなかった。一方、神経細胞に対する保護作用を示さない成分もあり、血管新生抑制作用と脳保護作用の関連性について更に検討を進める予定である。
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