2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生抑制作用を有する食品機能成分の多機能性の解明と応用研究
Project/Area Number |
22580130
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松原 主典 広島大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (90254565)
|
Keywords | 食品機能成分 / 血管新生 / 血管内皮細胞 / 神経細胞 / 細胞保護作用 |
Research Abstract |
ヒトの健康維持に役立つことが期待されている多くの食品機能成分に共通する生理作用として、血管新生抑制作用が示されている。しかし、血管新生抑制作用を有する食品成分がどのようにして疾病のリスクを下げるのかは十分に解明されていないことから、その作用機構について分子細胞レベルで検討した。また、そのような食品機能成分は、近年社会的問題となっている高齢者の脳疾患のリスクも下げる効果が期待されていることから、脳機能保護効果の可能性について動物実験で検討を進めた。 ・血管新生抑制作用を有する主要な食品機能成分の血管内皮細胞への影響を遺伝子発現の変動で検討した。その結果、興味深い遺伝子変動が見られたことから、RNAi法によって血管内皮細胞における機能評価を行った。また、細胞の代謝系への影響も示されたことから、神経細胞株を用いて細胞の低栄養に対する保護効果を検討した。これらの実験から、血管新生に関連する遺伝子への影響だけでなく、細胞の代謝系にも影響を与え、細胞保護効果をもたらすことが明らかとなった。また、虚血性脳疾患モデルで脳機能保護作用を示す食品機能成分が血管新生抑制作用を持つことも明らかにし、血管新生抑制作用と脳機能保護との関連性を示すことができた。 ・血管新生抑制作用を有する食品機能成分のin vivoでの効果を検討するため、老化促進マウスを用いて検討を開始した。機能成分を含む抽出液を飲料とした群と水を飲料とした対照群を飼育し、定期的に行動科学実験を行った。その結果、対照群に比べ抽出液を摂取している群の方が、脳機能を維持している可能性が示唆される結果が得られた。経口投与による効果の可能性が示唆されたことは、実生活への応用を考える上で意義深いといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血管新生抑制作用を有する食品機能成分の作用機構については、完全には解明されていない。その一端を明らかにできたことは、本年度の目標を達成したと考えられる。また、動物実験によう脳機能保護についても研究が進んでいることから、研究計画は順調に進んでいるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画はおおむね順調に進んでいるので、今後も当初の計画どおり進める予定である。また、遺伝子発現解析では見出せない新規作用機構を示す結果が得られており、計画以上の成果が期待できる可能性がある。更に、血管新生抑制作用を有する食品機能成分の新規生理作用も明らかにできたことから、今後、本研究の成果を発展させる方向性も得られた。
|