2011 Fiscal Year Annual Research Report
疾患感受性遺伝子としてのヒスタミンH1受容体の発現を制御する機能性食品成分の探索
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22580132
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
水口 博之 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (40247838)
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Keywords | ヒスタミンH1受容体 / 天然物医薬 / アレルギー疾患感受性遺伝子 / 転写調節 / セルフメディケーション |
Research Abstract |
ヒスタミンH1受容体(H1R)遺伝子発現亢進抑制作用を有する化合物の標的分子の同定および作用機序の解明: 和漢薬苦参、桑葉、つくし、阿波晩茶茶葉、レンコン、及びインド伝承医薬アユルベーダなど、抗アレルギー作用を有すると伝承される天然物医薬からHeLa細胞におけるホルボールエステル(PMA)刺激に伴うH1R遺伝子発現亢進、及びRBL-2H3細胞における抗原抗体刺激に伴うIL-4遺伝子発現亢進に対する抑制活性を指標に有効成分の単離・同定に成功した(特許出願中)。このうち、苦参の有効成分であるマーキアイン及びツクシの有効成分であるアピゲニンについて、その遺伝子発現抑制機序の解明を行った。HeLa細胞におけるヒスタミンやPMA刺激に伴うH1R遺伝子発現亢進には、PKCδ-ERK-poly(ADP)ribosepoJymerase-1 (PARP-1)シグナル経路が関与する。ヒスタミン刺激もしくはホルボールエステル刺激に伴いPKCδが細胞質からゴルジ体に移行することを明らかにした。PKCδ選択性阻害薬のrottlreinの前処理によりGolgi体への移行は抑制された。マーキアイン及びアピゲニンはPKCδの活性化に必要なTyr311残基のリン酸化を抑制した。また、ヒスタミンやPMA刺激に伴うPKCδのゴルジ体への移行を抑制した。結合化伴う内在性トリプトファシに由来する蛍光のクエンチング活性を指標とし、また、マーキアインやアピゲニンを固定化したアフィニティカラムクロマトグラフィーなどの手法を用いて両化合物の結合タンパクを同定し、これらの化合物の遺伝子発現抑制機構を詳細に検討した所、マーキアイン及びアピゲニンが結合タンパクとPKCδの結合を阻害することにより、PKCδのゴルジ体への移行を抑制し、H1R遺伝子発現シグナルを抑制することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
HeLa細胞におけるヒスタミンやPMA刺激に伴うヒスタミンH1受容体遺伝子発現亢進のシグナル経路を明らかにした。また、この遺伝子発現亢進を抑制する化合物を天然物医薬資源より単離・同定することに成功した。さらに、これらの化合物の遺伝子発現抑制作用機序について明らかにすることができた。このように交付申請書に記載した研究目的を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、同定した化合物について、アレルギーモデル動物を用いての抗アレルギー効果の再評価を行う。また、既存の抗アレルギー薬との相乗作用の有無について検討を行う。さらに、近年申請者らが明らかにしたアレルギー関連シグナルとの相乗効果についても検討する。このような研究を通して、これまにない新たな作用機序を持つ抗アレルギー薬の開発に繋げて行きたいと考えている。
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Research Products
(25 results)