2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22580134
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
辻田 隆広 愛媛大学, 総合科学研究支援センター, 准教授 (60112265)
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Keywords | 塩基性ペプチド / 膵リパーゼ / 抗肥満作用 / ポリリジン / プロタミン |
Research Abstract |
塩基性ペプチドの膵リパーゼ阻害機構を解析するため、平成22年度はプロタミン、ポリリジン及び塩基性多糖類を実験材料として用いて、膵リパーゼ阻害や抗肥満作用を検討した。 1.プロタミンを用いた実験:ハマチ、サケ、ニシン、タイの精巣由来のプロタミンの膵リパーゼ阻害強度は魚種の違いはなく、IC_<50>は約3μg/mlであった。ペプチドを得るため、蛋白分解酵素処理をすると、トリプシン処理ではほとんど阻害活性は失われ、ペプシン処理では阻害の強さは変わらなかった。キモトリプシン処理ではIC_<50>が10倍高くなった。高脂肪食で飼育したラットにプロタミンを投与すると、体重の減少傾向が認められ、血漿及び肝臓中のコレステロールが有意に減少した。 2.ポリリジンを用いた実験:重合度の異なるポリリジンを用いて膵リパーゼ阻害を測定したところ、重合度が増えるにつれて増加し、重合度10で飽和となった。重合度10のポリリジンをラットに経口投与し、脂質吸収抑制作用を測定したが有意な差は認められなかった、今後さらにこのことについては検討する必要がある。 ポリリジンと他のリパーゼ阻害剤(オリルスタットやグロブリン)の膵リパーゼ阻害における基質の役割について測定した。ポリリジンのリパーゼ阻害は基質に添加するリン脂質の種類や基質の物理的状態により大きく影響し、他のリパーゼ阻害剤とは阻害機序が異なることが明らかになった。 3.塩基性多糖を用いた実験:DEAE-ポリデキストロース等の塩基性多糖を用いて、塩基性の強さとリパーゼ阻害の強さを測定し、塩基性度とリパーゼ阻害が相関することを確認した。塩基性の強さ(等電点)が異なるペプチドを用いて塩基性度とリパーゼ阻害の関係を検討したが明確な相関が認められなかった。次年度は測定数を増やして検討する必要がある。
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