2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22580134
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
辻田 隆広 愛媛大学, 総合科学研究支援センター, 准教授 (60112265)
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Keywords | 塩基性ペプチド / リパーゼ / 抗肥満作用 / ポリリジン / プロタミン |
Research Abstract |
平成22年度に行ったin vitroでのリパーゼ阻害実験を継続して行うと共に、実験動物を用いて、塩基性ペプチドの脂肪吸収抑制作用について検証した。 1)塩基性ペプチドと脂質界面への相互作用はエマルジョン崩壊法を用いて測定した。トリオレインとホスファチジルコリンエマルジョンを、ポリリジシおよびプロタミンは10μg/mlという低濃度で崩壊した。しかし、アラビアゴムエマルジョンでは1mg/mlまで影響を及ぼ1さず、リパーゼ阻害活性と脂質界面への相互作用は相関があった。ラクトグロビンや牛血清アルブミンも同様にエマルジョン崩壊作用が認められたが、その濃度はポリリジンの10倍以上高濃度であった。 2)ラットに^<14>Cトリオレインエマルジョンとポリリジンを同時に経口投与した時、血中の^<14>C脂質の増加が減少し、糞中^<14>Cが増加した。またポリリジンの添加により小腸での遊離脂肪酸やモノアシルグリセロールの増加が遅延し、脂肪分解が遅延することが確認できた。このことはポリリジンが小腸内でも脂肪分解反応を阻害していることを示している。プロタミンを用いて場合、血中脂質の増加減少は認められたが、他の作用は明確には認められなかった。このことは、プロタミンは小腸内で蛋白分解酵素の作用により速やかに分解されるためと推測された。 3)塩基性ペプチドはホスファチジルコリンエマルジョンを基質として用いた場合、カルボキシルエステルリパーゼやホスフォリパーゼを低濃度で阻害した。しかし、アラビアゴムエマルジョンでは1mg/mlまでカルボキシルエステルリパーゼ阻害に影響を及ぼさず、膵リパーゼと同様な障害特異性が確認できた。 以上のように塩基性ペプチドはin vivoでも作用することが確認でき、その阻害は基質エマルジョンの性質に影響されることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂質界面と塩基性ペプチドの相互作用の測定を放射性同位元素を使用する方法から、エマルジョンの崩壊法に変えた以外、当初の研究計画に従い研究を推進できた。
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Strategy for Future Research Activity |
基質の状態や酵素の種類を変えて塩基性ペプチドのリパーゼ阻害作用を測定し、また他の塩基性物質と比較し、塩基性ペプチドの酵素との相互作用、基質との相互作用を解析する。その結果を基に、塩基性ペプチドの阻害機構を解明する。
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