2010 Fiscal Year Annual Research Report
高静水圧処理を利用した複合系タンパク質溶液からの新規ゲル状食品の創製
Project/Area Number |
22580137
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井倉 則之 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30260722)
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Keywords | 高静水圧 / ゲル / 物性 / オボアルブミン |
Research Abstract |
加圧処理を利用した新規ゲル状食品の創製を目指し、複数の成分からなる加圧ゲルの作製を行なった。はじめにオボアルブミンを主要成分とした水溶液に塩類、糖類、あるいは大豆油をそれぞれ添加混合後、加圧処理(600 MPa,20℃,5 min)によりゲル化させたときの物性(かたさ、凝集性、付着性)および離水率を、未添加時の加圧ゲルと比較調査した。塩類の添加により、かたさおよび付着性は増加し1価の塩よりも2価の塩でその効果は高くなった。また離水率は2価の塩を添加したときのみ有意に増加した。糖頃としてスクロース、フルクトオリゴ糖、あるいはキサンタンガムを添加したところ、かたさはフルクトオリゴ糖およびキサンタンガムの添加により、付着性は全ての糖の添加により増加した。離水率はスクロースとキサンタンガムにより低下した。一方、大豆油の添加によりかたさおよび付着性が低下した。塩類は電荷により加圧により変性したタンパク質間の相互作用に影響を与え、糖類はタンパク質だけでなく、連続層としての水の物性に影響を与えたと考えられた。大豆油に関しては加圧処理の前に均質化を行なっており、乳化された状態になっていることならびに疎水性相互作用によるタンパク質の凝集を妨げたことによりかたさが低下したと考えられた。次にオボアルブミンとホエイタンパク質を総タンパク質濃度が10%となるように比率を変えて混合した時の物性、離水率を調べた。ホエイタンパク質の添加によりかたさ、付着性、および離水率の低下が認められた(pH7)。この時のゲル表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、ホエイタンパク質の比率が高くなるほど、タンパク質凝集物間の空隙(孔)が大きくなる傾向が認められた。以上のように、加圧タンパク質ゲルは添加物によってその咀嚼時の物性が異なることが明らかとなった
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