2011 Fiscal Year Annual Research Report
フラボノイド抱合体合成法の確立と抱合体の機能性評価
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22580139
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
津志田 藤二郎 宮城大学, 食産業学部, 教授 (00353920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 建夫 宮城大学, 食産業学部, 名誉教授 (80005652)
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Keywords | フラボノイド抱合体 / グルクロン酸抱合体 / 硫酸抱合体 / 抱合体合成 / ポリフェノール / 食品機能性 / 抗酸化性 |
Research Abstract |
ケルセチン、ケンフェロール、ルテオリン、アピゲニン、ナリンゲニンなど入手可能なフラボノイドアグリコンについて、それぞれ90%以上を硫酸抱合体に変換することを可能にし、合成法を確立した。硫酸抱合体は、カラムクロマトグラフィーなどによる分取後の濃縮過程で、硫酸基が離脱することが課題であったが、本年度はトヨパールHW40カラムクロマトグラフィーで粗分画した抱合体から硫酸が脱落することのない濃縮法を開発し、高純度の抱合体を取得することができた。分離・分取によって得られた高純度の硫酸抱合体をLCMSMSで解析した結果、ケルセチンのモノ硫酸体とジ硫酸体、ケンフェロールのモノ硫酸体とジ硫酸体、アピゲニンのモノ硫酸体やジ硫酸体等であることが分かり、これらを数十mg~100mg程度まで合成し確保することができた。これら精製した硫酸抱合体の機能性を評価するため、本年度はDPPHを用いた抗酸化性の比較をおこなった。また、新たにイソフラボンのダイゼインとゲニステインの硫酸抱合体の合成についても着手し、他のフラボノイドと同様に90%以上の高収率で合成できることを確認し構造解析を行ったが、アグリコンが高価であるためその量的な確保が課題になった。 グルクロン酸抱合体の合成については、引き続きアセトプロモα-D-ブロモグルクロニドメチルエステルをグルクロン酸供与体として用いるKoenigs-Knorr反応の条件検討をケルセチンを用いて行ったが、触媒の種類を変えることによる収率の向上はあまり認められなかった。この方法をイソラムネチンについても適用しグルクロン酸抱合体を合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
硫酸抱合体の合成については予定どおり収率が90%を越える合成法を確立し、機能性評価に供与するための量的な確保が可能になったが、グルクロン酸抱合体合成として用いたKoenigs-Knorr反応については、収率の向上を図ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ケルセチン、ケンフェロール、ルテオリン、アピゲニン、ナリンゲニン、ダイゼイン、ゲニステイン等の硫酸抱合体を合成し抗酸化性を始めとする機能性評価を行い、構造活性相関を明らかにする。 グルクロン酸抱合体の改良を試みるとともに、上記フラボノイドの内、ケルセチンやルテオリン、ナリンゲニン等の比較的容易に入手可能なアグリコンについては、グルクロン酸抱合体合成を繰り返し実施し、得られた抱合体を用いて抗酸化性等の機能性評価を行う。なお、フラボノイドアグリコンの大量入手が困難であることから、これらアグリコンの天然物からの調整についても追加して試みる。
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