2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22580143
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
井手 隆 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (20127971)
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Keywords | 脂肪酸合成 / 脂肪酸酸化 / セサミン / α-リポ酸 |
Research Abstract |
セサミンは肝臓の脂肪酸合成を低下させ、反対に脂肪酸酸化を上昇させる。また、α-リポ酸は肝臓脂肪酸合成を抑制する作用がある。このような代謝変化がセサミンとα-リポ酸の血清脂質低下作用の原因と思われる。この両者を同時摂取した場合、単独で摂取した場合と比較し、より強い脂質代謝改善作用が発揮されると期待される。そこで、本研究では両者の同時摂取が肝臓の脂肪酸代謝および血清と肝臓の脂質レベルに与える影響を調べた。雄SD系ラットを4群に分け0.2%セサミン食、0.25%α-リポ酸食、0.2%セサミンと0.25%α-リポ酸同時添加食あるいは両者を含まない対照食を22日間与えた。血清トリアシルグリセロール(TG)、コレステロールおよびリン脂質濃度はセサミンとα-リポ酸群両者で低下し、同時投与群ではさらに大きな低下が観察された。一方、肝臓TG濃度はα-リボ酸群で大きく低下した。しかし、セサミン群での低下は少なくセサミン、α-リポ酸同時添加群での値はセサミン群での値と同じであった。セサミンとα-リポ酸は肝臓の脂肪酸合成系酵素の活性と遺伝子発現を低下させ、その同時摂取はこれらの値を相加的に減少させた。セサミンは肝臓の脂肪酸酸化系酵素の活性と遺伝子発現を大きく増加させた。さらに、セサミンは脂肪酸酸化に必須な物質であるカルニチンの濃度を増加させた。しかし、α-リボ酸の同時摂取はいくつかの脂肪酸酸化系酵素の活性と遺伝子発現を低下させ、さらに肝臓のカルニチン濃度低下を引き起こし、セサミンの脂肪酸酸化亢進作用に拮抗するようである。このような代謝変化がセサミンとα-リポ酸同時添加が肝臓TG低下に有効でない理由と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度は魚油とセサミンの相互作用についてしらべ、魚油は日本人の摂取レベルで相乗的な相互作用を引き起こすとの知見を得、論文としてまとめ投稿中である。今年度の結果はこれに反し、リポ酸がセサミンの脂肪酸酸化誘導作用に干渉し、脂質代謝改善作用を弱める相殺作用を及ぼすという結果であった。しかし、このような知見も日常の食生活を考える上で重要であり、脂肪酸代謝制御機構の観点からも重要な情報を与えるものである。結果について、論文として投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24度は最終年度であるが、当初予定通りの成果を収めている。今年度はセサミンと大豆リン脂質の相互作用について調べる。大豆リン脂質はα-リポ酸と同じように肝臓の脂肪酸合成抑制作用を持つ食品成分であり、セサミンとα-リポ酸との組み合わせで見られるような、脂質代謝改善への相殺作用が見られるかどうか確認する必要がある。相殺作用が見られるとすれば、食餌指針の提言にもつながる一般的な原理原則を提示出来ると考えている。
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Research Products
(2 results)