2011 Fiscal Year Annual Research Report
葉酸過剰摂取が制御性T細胞の機能、分化に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
22580144
|
Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
岡本 能弘 千葉科学大学, 薬学部, 准教授 (40261036)
|
Keywords | 制御性T細胞 / 葉酸 / Th17 |
Research Abstract |
葉酸過剰摂取、あるいは欠乏が免疫システムに及ぼす影響は不明である。制御性T細胞(Treg)に4型葉酸受容体(FR4)が高発現することが報告されている。葉酸摂取異常によってTreg表面のFR4を介してTreg細胞機能に何らかの機能変化を及ぼすことが想定される。葉酸過剰摂取あるいは葉酸欠乏により卵白アルブミン(OVA)に対する経口免疫寛容の誘導亢進傾向を前年見いだした。この葉酸欠乏/過剰摂取による免疫寛容亢進の機序として、Treg細胞の分化亢進が考えられた。これらを踏まえ、本年、葉酸の摂取状況がTreg細胞分化に及ぼす影響を詳細に調べた。葉酸欠乏飼料で1ヶ月飼育したマウスの脾細胞中の内在性Treg(nTreg)頻度(CD4+CD25+Foxp3+)は対照群と有意な差はなかった。また、過剰葉酸含有飼料(通常の葉酸含量のx2000)で飼育した場合も有意な差はなかった。この時のCD4+細胞のFR4発現にも有意な差がなかった。nTreg分化に葉酸摂取は関係しないようである。一方、これらマウスリンパ球からin vitroでTregを誘導した(iTreg)場合、iTreg頻度は葉酸の摂取量に依存して低下する傾向が見られた。また、近年、TregとIL17産生細胞として重要なTh17との可塑性が注目されている。これらマウスリンパ球からin vitroでTh17を誘導したところ、葉酸の摂取量に応じてTh17頻度が上昇する傾向がみられた。葉酸摂取量がTreg/Th17の可塑性に影響し、誘導型Treg分化に影響している可能性が考えられる。以上のことから葉酸欠乏状態での免疫寛容亢進にはTh17分化阻害を伴うiTreg誘導が関わっている可能性が示唆される。一方、葉酸過剰摂取による免疫寛容亢進には何か別の機序が関わっていると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
葉酸摂取の異常が制御性T細胞分化に影響を及ぼす可能性を示す実験結果が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究で、葉酸過剰食、あるいは葉酸欠乏食でマウスを一定期間飼育した場合に制御性T細胞の量的変化が生じることを明らかにした。今年度はそのメカニズムにせまるため、制御性T細胞の分化機構に及ぼす影響を検討する。特に葉酸が転写因子であるFoxp3とROR-gtを発現変動させる機序について解析を進め、葉酸による制御性T細胞機能の人為的制御の可能性をさぐる。
|