2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体試料分析を主目的としたアシル化アントシアニンの高感度LC-MS/MS分析
Project/Area Number |
22580147
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松藤 寛 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (70287605)
|
Keywords | アントシアニン / 安定性 / LC-MS分析 |
Research Abstract |
生体試料中のアントシアニンの高感度分析法の確立を目的とし、まず分析前処理での安定性と、LC分析中での安定性・感度(定量限界・検出限界)を調べた。1.アシル化アントシアニン混合物を種々の濃度のギ酸(0.1~30%)またはTFA(0.1~15%)含有アセトニトリルを溶出液としたODS精製し、溶出液に対する安定性について検討した。高濃度の酸に比べ、低濃度では全体的にピーク強度は低下した。一方、高濃度溶出液を繰り返し濃縮すると、ピーク強度の低下・分解が起こり、その現象は高濃度の酸の方が顕著であった。また、高濃度TFAではマロニル基が脱離した。従って、分析前処理においては、5~10%ギ酸を溶出液とし、濃縮操作をあまり施さない方がよいと考えられた。2.LC分析中での安定性・感度を、非配糖体(Cy,Pg,Pn)、モノ配糖体(Cr3-Glc,Pg-3-Glc,Pn-3-Glc,Cy-3-Gal,Pn-3-Gal)、ジ配糖体(Cy-3-Glc-5-Glc,Cy-3-Sof,Cy-3-Rut)、トリ配糖体(Cy-3-Sof-5-Glc,Pg-3-Sof-5-Glc,Pn-3-Sof-5-Glc)を入手し、TFA系移動相(0.1%,0.5%)とギ酸系移動相(0.1%,1%,5%,10%)を用いたHPLCで分析した。非配糖体はどの移動相でも概ね同様の定量限界・検出限界値を示し、移動相の種類の影響は受けなかった。しかし、結合糖の構造、結合位置により若干の違いはあるが、結合糖数の増加に伴い感度は低下した。中でもLC-MSで頻用される0.1%ギ酸を移動相とすると、結合糖数の増加に伴いピーク形状はブロード化し、感度は最高感度条件下(10%ギ酸)に比べ、モノ配糖体で3~5倍、ジ配糖体で6~8倍、トリ配糖体で6~13倍低下した。一方、TFA、ギ酸の濃度が高くなると感度は向上し、10%ギ酸を移動相に用いたとき最も高感度な分析が可能となった。しかし、LC-MSでは10%ギ酸は使用困難な移動相であり、LC-MSでの高感度分析においては更に検討が必要である。
|