2011 Fiscal Year Annual Research Report
森林性鳥類が局所及び景観スケールでの人為的環境改変から受ける影響
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22580155
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
柳川 久 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (70210292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 まゆら 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (10466807)
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Keywords | 孤立林 / メタ個体群 / 多様性保全 / 森林管理 |
Research Abstract |
昨年度までの研究結果より、農耕地の孤立林に生息する鳥類多様性には周辺の景観構造が影響を及ぼしており、また重要となる景観の要素は複数あることが明らかになった。記録された鳥類群集を樹洞営巣性(シジュウカラ、ニュウナイスズメ等)、地表営巣性(アオジ、エゾセンニュウ等)、樹上営巣性(アカハラ、コサメビタキ等)という3つのグループにわけ、各グループの個体数を説明する局所・景観要因を特定するための統計解析を行った結果、3グループすべてで周辺の景観構造の重要性が示された。具体的には、樹洞営巣性鳥類の個体数は周辺の森林率が高いほど多くなり、残り2つのグループの個体数は周辺の草地率が高いほど多くなることが分かった。 また、今年度は農耕地の孤立林等に生息する鳥類の中でも、その生態系ピラミッドの頂点に位置する猛禽類(ハイタカ、ノスリ)に営巣環境に注目して、営巣木や営巣林分の特徴を調べた。調査した31のハイタカの巣は、カラマツに作られたものが最も多かったが、その営巣林分では常緑針葉樹林への選好性が示された。構造的には林内空間の閉じた若齢林を選択していた。これらの結果を基に、ハイタカの営巣木および林分に対する保全策をまとめ公表した。ノスリに関してはその結果を解析・公表準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
森林性鳥類の多様性に関する調査は平成22、23年の調査でおおむね完了しており、本年度は補足的な調査を行う。景観構造に関する調査も森林デジタル地図の作成は終了しており、今年度は最新の変更点を更新するのみである。それらの作業の後、論文を執筆し、年度内に投稿の予定である。また、鳥類の中でも猛禽類に関しては、既に昨年度一部を公表済みで、データも取り終えているので、残りのものについて現在論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は補足的な調査として昨年度までに作製した森林デジタル地図に最新の変更点を更新し、新たに解析をし直した上で、研究成果の公表・論文化を進める。また、鳥類の中でも猛禽類に関しては、比較的データ数の少なかったノスリの営巣環境については、既に論文を執筆中であるが、可能であればデータの追加を試み、解析も新たにし直して公表・論文化を進める。これらの全ての結果を基に、鳥類に関する保全の提言をまとめる予定である。
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Research Products
(3 results)