2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規ジカルボン酸によってシラカンバ幼植物体内に誘導される全身植物免疫機構の解明
Project/Area Number |
22580156
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
横田 信三 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (60210613)
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Keywords | 菌類 / シグナル伝達 / 植物 / タンパク質 / プロテオーム / ジカルボン酸 / シラカンバ / 全身植物免疫 |
Research Abstract |
3ヶ月生のシラカンバ幼植物体No.8に、0.5mMサリチル酸(SA)水溶液1μLを投与した(T)。対照区として無処理のもの(C1)及び超純水1μL投与したもの(C2)も用意した。処理後2日目に各植物体からタンパク質を抽出し、これを二次元電気泳動にかけ、ゲルをCBB染色した。ゲルの画像解析の結果、SA処理特異的タンパク質が20個、発現量が2倍以上増加したタンパク質が13個、発現量が1/2以下に減少したタンパク質は25個それぞれ検出された。これらのタンパク質の内、25個をゲルから切り出し、ゲル内消化後、MALDI-TOF-MS分析に供した。得られたデータをデータベース検索した結果、次の8種類のタンパク質が同定された。NPR1-like-protein, MADS-domain transcription factor, Phytocrome 2, Oxygen-evolving enhancer protein 2, 4種の機能不明タンパク質。これらの同定されたタンパク質より、シラカンバ幼植物体No.8は、NPR1を介した全身獲得抵抗性誘導機構を有していることが明らかになった。また、SA処理後2日目のシラカンバ幼植物体の処理部付近から、横断面及び縦断面切片を作製し、ペルオキシダーゼ活性染色を施した。その結果、C1では特異的な染色は見られなかったが、C2では、傷口付近に染色が観察された。一方、Tでは、処理部を中心としてC2よりもかなり広範囲に染色が観察された。これらの結果より、SAが投与部位から浸透・拡散し、そこで全身獲得抵抗性を誘導し、抵抗性に関わるペルオキシダーゼが発現したものと考えられる。また、ペルオキシダーゼの発現が、全身獲得抵抗性誘導の一つの指標となることが示唆された。
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