2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規ジカルボン酸によってシラカンバ幼植物体内に誘導される全身植物免疫機構の解明
Project/Area Number |
22580156
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
横田 信三 宇都宮大学, 農学部, 教授 (60210613)
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Keywords | 菌類 / シグナル伝達 / 植物 / タンパク質 / プロテオーム / ジカルボン酸 / シラカンバ / 全身植物免疫 |
Research Abstract |
3ヶ,月生のシラカンバ幼植物体No.8に、0.5mMサリチル酸(SA)水溶液1μLを投与した(T)。対照区として、無処理のもの(C1)及び超純水1μL投与したもの(C2)も用意した。処理後2日目に各植物体からタンパク質を抽出し、これを二次元電気泳動にかけ、ゲルをCBB染色した。ゲルの画像解析の結果、SA処理特異的タンパク質が23個、発現量が有意に増加したタンパク質が5個、発現量が有意に減少したタンパク質が4個、それぞれ検出された。これらのタンパク質の内、18個をゲルから切り出し、ゲル内消化後、LC/MS/MS分析に供した。得られたシークエンスタグ・データをデータベース検索した結果、11種類のタンパク質が同定された。同定されたタンパク質は、エネルギー生産、代謝及びタンパク質合成に関与するものであり、SAにより誘導された全身獲得抵抗性の構築に関与するものと考えられる。別の実験として、ジカルボン酸であるアゼライン酸(AZA)溶液(1mM/5mM MES緩衝液)を1μL、シラカンバ幼植物体に投与し(T_<AZA>)、また、対照区として、無処理のもの(C1)及び5mM MES緩衝液を1μL投与したもの(C2_<AZA>)を用意した。処理後、2日目に各幼植物体からタンパク質を抽出し、二次元電気泳動にかけ、ゲルをCBB染色後、画像解析を行った。その結果、各処理区で検出されたタンパク質総数は、C1,C2_<AZA>,T_<AZA>で、それぞれ788,809,861個であった。また、各処理区特異的タンパク質数は、C1,C2_<AZA>,T_<AZA>で、それぞれ13,18,26個であった。T_<AZA>特異的タンパク質のプロフィールが、SA特異的なものと異なっていたことから、AZAはSAとは異なる機構で、シラカンバ幼植物体内に全身植物免疫を誘導するものと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
タンパク質の同定用の分析として、これまでMALDI/TOF/MSを使用してきたが、再現性及び同定率とも低いため、LC/MS/MSに変更した。しかしながら、この分析が可能な装置が学内になく、つくば市にある農業・食品産業技術総合研究機構、作物研究所に依頼して、そこに出向いて分析及びデータ解析を行わせて頂いている。しかし、この研究所における装置の所内・所外関係の使用頻度が非常に高く、分析の予約をするのが容易ではないのが実情である。
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Strategy for Future Research Activity |
農業・食品産業技術総合研究機構、作物研究所に、LC/MS/MS分析の予約を早めに依頼し、年間の分析スケジュールを早期に立てて、問題解決に対処するつもりである。
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