2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子多型による森林浴の慢性ストレス軽減効果の個人差の検証
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22580161
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森田 恵美 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (60551968)
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Keywords | 森林浴 / 遺伝子多型 / ストレス / メンタルヘルス / 健康状態 / J-MICC Study |
Research Abstract |
1回、森林浴を行った場合の心理的な効果は個人差があり、慢性的にストレスを感じている人ほど大きな効果があったことが報告されている。よって、本研究では、個人差に着目し、(1)森林散策を習慣的に行った場合の日常のメンタルヘルスとの関連は、遺伝的体質(遺伝子多型)により差があるのか、(2)ストレスなどに弱いとされている遺伝子型の人でも、高頻度で森林散策を行っていれば、日常のメンタルヘルスが良い状態に保たれているのかを検証することを目的としている。そこで、J-MICC Study静岡地区のベースライン調査のデータ・検体(約5000人分)を使用し、下記の解析を行った。 (1)遺伝子解析 メンタルヘルスやパーソナリティ、睡眠障害等との関連が報告されているセロトニントランスポーター遺伝子多型(5HTTPLR)について、遺伝子解析を行った。(5HTTPLR)は、塩基の繰り返し配列の数の違いによる多型であるが、大規模集団(約5000人)で遺伝子解析を行った結果、これまで報告されていない新規アレルが5つ発見された。 (2)セロトニントランスポーター遺伝子多型(5HTTPLR)による個人差を考慮した森林散策頻度とメンタルヘルスとの関連 5HTTPLRは、S(short)allele(14 repeated)が、リスクであることが報告されている(一方で、関連がないという報告もある)。森林散策頻度とメンタルヘルス不良(General Health Questionnaire-12〓4)との関連を検討した結果、男女ともに、SS型では、森林散策頻度とメンタルヘルス不良の割合には負の関連が認められ、ストレスに弱い可能性が指摘されているSS型の人でも、高頻度で森林散策を行った場合、日常のメンタルヘルスが良い状態に保たれている可能性が示唆された。2012年3月末に学会発表し、今後、専門誌に論文を投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、一つの遺伝子多型に対して、1000人分の遺伝子解析を想定していたが、実際は、J-MICC(Japan Multi-Institutional Collaborative Cohort) Study静岡地区のベースライン調査から得られた全検体、約5000人分の遺伝子解析を行った。その結果、個人差(遺伝子型)を考慮した森林散策頻度とメンタルヘルスとの関連に関して、より高い正確性が担保された、データ解析が可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、Catechol-O-methyltransferase (COMT) Yall58Met、セロトニントランスポーターで(5HTTPLR)の2つの遺伝子多型の遺伝子解析を行ったが、現在、更に、ストレスや睡眠等に関連した数種の多型の遺伝子解析を試みている。このうち、遺伝子解析可能な多型があった場合には、約5000人を対象にして、遺伝子解析を実施する予定である。 平成24年度は、本研究課題の最終年度であるため、COMT、及び、セロトニントランスポーター遺伝子多型による個人差を考慮した森林散策頻度とメンタルヘルスとの関連に関して論文化し、専門誌に投稿し公表したい。
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Research Products
(10 results)