2012 Fiscal Year Annual Research Report
人工林が渓流魚に及ぼす影響:バイオエナジェティックモデルによる定量的評価
Project/Area Number |
22580164
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井上 幹生 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (10294787)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 人工林 / 渓流魚 / アマゴ / バイオエナジェティックモデル / 流下物採餌 / 渓畔林 |
Research Abstract |
人工林が生態系に及ぼす影響を多面的に評価することは、今後の森林政策・管理において極めて重要である。本研究では、Hughes & Dillによるバイオエナジェティックモデル(以下、HDモデル)を用いることにより、人工林化が渓流魚の環境収容力に及ぼす影響について、より定量的で、かつ、広く適用可能な評価法を構築することを目的としている。2011年度までに、愛媛県石手川源流域において、(1)HDモデルがアマゴに適用可能であることを示すとともに、(2)それを用いて人工林と天然林とでの潜在的な環境収容力の違いの試算がなされている。2012年度では、どの程度の範囲での河畔林相が流下餌量に影響するのかを明らかにするために空中写真から判読される林相(人工林か天然林)と流下餌量との対応関係を検討した。調査地点の上流側50mから1000mまでと範囲を変えて、それぞれの範囲の天然林率と流下餌量との対応関係を検討した結果、相関係数はさほど高くないものの(r = 0.38)上流側50m区間における天然林率との正の相関が最も高くなり、流下餌量には直近の河畔植生が影響することが示唆された。また、石手川で得られている人工林河川と天然林河川とでの流下餌量の違いが、他の地域でも見られるかどうか検討するために、仁淀川水系黒川でのサンプリングデータの解析を行った。その結果、石手川における天然林河川と人工林河川での平均流下密度(流水100m3あたり)は、それぞれ、38mgと12mgであったのに対して、黒川においては35mgと13mgであり、非常に近い値を示した。これらのことより、HDモデルを用いることにより、対象河川区間のすぐ横の植生(人工林か天然林か)に基づいて流下餌量を仮定することにより人工林化(または人工林の天然林化)がアマゴに環境収容力に及ぼす影響を定量的に示しうることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)