2010 Fiscal Year Annual Research Report
スギの雌性不稔化の基盤:雌性生殖器官発現遺伝子のプロファイリングと遺伝子機能解析
Project/Area Number |
22580168
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
谷口 亨 独立行政法人森林総合研究所, 森林バイオ研究センター, 室長 (00360470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 学 独立行政法人森林総合研究所, 森林バイオ研究センター, 主任研究員 (40370829)
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Keywords | スギ雌花 / 胚珠 / レーザーマイクロダイセクション / RNA |
Research Abstract |
スギにジベレリン処理を行ない,雌花の誘導を行った。花芽が誘導される9月頃より受粉の時期である翌年3月頃まで雌花をサンプリングし、組織切片を作成して、雌性生殖器官発達の重要なステップである胚珠原基分化、珠心と珠皮形成、胚嚢母細胞の分化の時期に関する情報を収集した。 また、レーザーマイクロダイセクション(LMD)法をスギの雌花に適用する条件の検索を行い、LMD法により切り出した組織からPicoPure RNA Isolation Kit (Arcturus)により抽出したRNAの品質の確認をAgilent 2100 Bioanalyzer (Agilent Technologies)を用いて行った。すなわち、まず、凍結切片を作製する際の固定液の検討を行ったところ、Farmer's固定液(エタノール:酢酸=3:1)がアセトンより優れることが明らかになった。次に、LMD装置の各種パラメーターの検討を行い、胚珠単離に適した条件を見いだした。しかし、胚珠から抽出したRNAの品質は実用的なものではなかった。その理由として、切断時のレーザーによるRNAへの障害が考えられた。予備的に高出力のレーザーを備える最新式のLMD装置で胚珠の切り出しを行ったところ高品質のRNA抽出に成功した。このことからスギの雌花にRNA抽出を目的とするLMDを行うためには、用いる装置のレーザー出力が重要であることが明らかになった。また、LMD法によらず、液体窒素で凍結した雌花から分化途中の胚珠を分離し、その胚珠よりRNAを抽出する条件を明らかにした。この方法により抽出したRNAの品質は、ライブラー作製などに使用可能な実用的なものであった。
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