2011 Fiscal Year Annual Research Report
スギの雌性不稔化の基盤:雌性生殖器官発現遺伝子のプロファイリングと遺伝子機能解析
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22580168
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
谷口 亨 独立行政法人森林総合研究所, 森林バイオ研究センター, 室長 (00360470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 学 独立行政法人森林総合研究所, 森林バイオ研究センター, 主任研究員 (40370829)
小長谷 賢一 独立行政法人森林総合研究所, 森林バイオ研究センター, 研究員 (30582762)
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Keywords | スギ雌花 / 胚珠 / クライオマイクロダイセクション / SSH / cDNAシーケンス / 次世代シーケンサー |
Research Abstract |
スギの雌性生殖器官特異的な発現遺伝子を単離するため、まず、雌花から胚珠組織をクライオマイクロダイセクション法により簡便に単離する手法について検討した。すなわち、胚珠を形成した11月上旬の雌花を液体窒素下で凍結し、ドライアイスブロックで包囲しながら実体顕微鏡下でマイクロピンセットを用いて胚珠(約350μm長)を凍結したまま摘出した。摘出した胚珠20個からPicoPure RNA Isolation Kit(Arcturus)を用いてRNA抽出し、Agilent 2100バイオアナライザにより濃度と純度を測定した結果、約40ngのtotalRNAが高純度(RNA指標 RIN=8.9)で得られた。次に、Super SMART PCR cDNA Synthesis Kit(Clontech)を用いてcDNA合成と増幅を行い、本cDNAをテスター、幼植物体(地上部および根系)、カルス、成木シュート先端の混合RNAから得たcDNAをドライバーとしてSuppression Subtractive Hybridization(SSH)法により胚珠特異的cDNAライブラリーを作製した。続いて、得られたcDNAライブラリーについてサンガー法(約1,000クローン)とRoche GS-FLX Titaniumによる次世代シーケンス解析(約65,000リード)を行った。その結果、約1万のcontigが得られ、アノテーション解析により胚珠において高発現が予想される遺伝子には、雌花形成に関与することが予想されるclass B MADS-boxタンパク質や、耐寒性、耐乾燥性に関与する遺伝子が多く存在し、形態形成だけでなく、越冬に必要な遺伝子発現が生じていることが示唆された。定量RT-PCRによる発現解析を行い、スギの胚珠で特異的に発現する遺伝子候補を特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分化途中のスギの胚珠特異的に発現する遺伝子のcDNAライブラリーをSSH法により作製し、次世代シーケンス解析を行った。次に、定量RT-PCRにより発現の特異性を確認した。これらのことより、当初計画通りにスギの雌性生殖器官で特異的に発現する候補遺伝子を特定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
分化段階別のスギ胚珠特異的遺伝子の解析を進める。それらをもとに雌性生殖器官発現遺伝子のプロファイル作製と遺伝子の機能推定を行い、スギの雌性不稔化に必要な遺伝子の特定につなげる。
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