2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22580177
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Research Institution | Osaka City Institute of Public Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
山崎 一夫 大阪市立環境科学研究所, 都市環境担当, 研究主任 (30332448)
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Keywords | 紅葉 / 共進化 / アブラムシ / アリ / 適応的意義 |
Research Abstract |
紅葉(黄葉)の適応的意義として、生物間相互作用を重視した次の2仮説が提唱されている。紅葉は秋に木へと移住するアブラムシなどの植食性昆虫に対する木からの警告信号であるという共進化仮説と、アブラムシを誘引して好蟻性アブラムシによって木を他の植食性昆虫から防衛してもらうという三栄養段階相互作用仮説である。これら2仮説を検証するため、以下の野外調査を行った。(1)都市緑地の大阪城公園に自生するエノキを約30本選び、秋の黄葉の程度、春のアブラムシの発生量、アリの来訪数、食害量、シュートの長さ(木の活力の指標)の関係を調査した。その結果、黄葉が強い木で食害量(葉面積消失率)が少ない傾向がわずかにあった。しかし、アブラムシはいずれの木でも発生量が少なく、アリの来訪も稀であった。一部のシュートの長い木で黄葉が強い傾向があり、秋にはそのような木にスペシャリストのエノキワタアブラムシが発生していた。詳細な解析は進行中だが、2仮説のいずれも支持しない結果と思われる。調査した木は古木でありアブラムシへの抵抗性が比較的強いと考えられること、都市環境なので本来の生物間相互作用が失われている可能性があることが結果に影響しているかもしれない。(2)大阪府箕面公園のイロハモミジの若木16本と金剛山のウリハダカエデ20本を選び、秋の紅葉の程度を記録した。次年度に、春のアブラムシの発生量、アリの来訪数、食害量、シュートの長さを(1)と同様に測定し、2仮説の予測と適合するか否かを検討する。
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