2011 Fiscal Year Annual Research Report
グルクロナン分解酵素を利用したグルクロン酸の新規生産システムの構築
Project/Area Number |
22580179
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
羽生 直人 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10292575)
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Keywords | グルクロナン / 酵素 / 微生物 / グルクロン酸 / TEMPO触媒酸化 / カードラン / カーデュロン酸 |
Research Abstract |
食品添加剤,化粧品,医薬品などに広く利用されている有用物質グルクロン酸およびその分子内エステル誘導体であるグルクロノラクトンを効率的に生産するために,グルカン類をTEMPO触媒酸化することによって得られるグルクロナン(ポリグルクロン酸)と,これに作用する加水分解酵素とを組み合わせる新規プロセスを構築することを目的として検討を続けている. 本年度は,酵素の基質にするグルクロナンとして,カードラン(β-1,3-グルカン)のTEMPO触媒酸化によって得られるカーデュロン酸(β-1,3-グルクロナン,酸化カードラン)を中心とした検討を行った.カーデュロン酸分解菌として昨年度に単離・同定することに成功したPaenibacillus sp.EH621株について,酵素抽出条件などの影響を調べた.しかしながら,グルクロン酸の効率的な生産システムに使用するためには,抽出されるカーデュロン酸分解酵素の活性が充分に高く得られないという問題があった.そこでカーデュロン酸分解菌のスクリーニングをさらに継続することにした.その結果,土壌中より新たなカーデュロン酸分解菌が単離され,BH651株と命名した.BH651株はカーデュロン酸を炭素源とする培地でよく増殖するが,EH621株と比較して,培養液中の窒素濃度の影響をより強く受けることが明らかになった.そのため,培地成分の最適化によるカーデュロン酸分解酵素の産生量増加をめざした検討を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TEMPO酸化カードラン(カーデュロン酸)の分解菌を単離し,同定するところまではほぼ予定通りに進んでいる.しかしながら,充分に高い酵素活性が得られておらずこの点が解決すべき課題である.
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Strategy for Future Research Activity |
単離された菌株については培養条件および酵素抽出条件(可溶化処理の検討など)の最適化をはかることによって,より高い酵素活性を得ることをめざす.一方,カーデュロン酸分解能力が高く,目的に適した分解酵素を効率的に産生する菌株のスクリーニングは今年度も地道に継続して予定である.
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