2011 Fiscal Year Annual Research Report
ストカスティックモデルを用いた木質構造の地震被害予測に関する研究
Project/Area Number |
22580182
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
安村 基 静岡大学, 農学部, 教授 (40143408)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 滋彦 静岡大学, 農学部, 教授 (40115449)
小林 研治 静岡大学, 農学部, 助教 (90576240)
|
Keywords | 建築構造・材料 / 木質構造 / 耐震 / 確率 / モデル化 |
Research Abstract |
わが国で木質構造の耐震設計に一般に適用されている許容応力度設計は、部材や接合部の強度分布の下限値に基づいた設計であるため、部材と接合部の強度分布や靱性のバランスが必ずしも考慮されておらず、地震時に脆性破壊に基づく危険な破壊メカニズムを生じる恐れがある。本研究は、部材や接合部の強度分布や終局性状を考慮した確率的手法を導入することにより、部材と接合部のバランスのとれた設計方法を確立するための基礎資料を提供することを目的とする。 現在までのところ、曲げ降伏型接合部における降伏モードをモンテカルロシミュレーションにより推定し、下限値の比較による設計が安全サイドの設計となっていること、一方、木材の繊維に直角方向の応力を受ける接合部では、木材の破壊確率を想定した設計を行わないと危険サイドの設計となること、またモーメントを伝達する柱・梁接合部においても、確率的手法を取り入れた設計を行わないと、柱の折損など危険な破壊メカニズムを生じる恐れがあることが分かった。これらの接合部に信頼性指標を用いた設計を行うことにより、モンテカルロシミュレーションと同様の結果を得ることができるもとも明らかになった。これらに加えて、木質耐力壁について仮動的加力実験を行うことにより、接合部の力学特性に基づいた動的解析モデルの検証を行い、様々な地震波が木質構造の応答に及ぼす影響を調べた。今後これらの成果をもとに、木質構造のより合理的な設計法の検討を行い、木造建築物における構造安全性に関する信頼性の向上および経済性、低環境負荷型建築物の実現を図る。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
部材、接合部の設計については、おおむね研究成果が得られたが、これをもとに建物全体の挙動を推定するためには、計算機の能力の限界があり、今後、解析手法の簡略化などの検討を行う必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究を継続し、確率的手法を用いた部材および接合部の設計法の検討をとりまとめる。具体的には木材の割裂を生じる接合部について、破壊力学を用いたシミュレーションにより破壊メカニズムの推定を行うとともに、接合部における信頼性解析を行い、これらを総合して木質構造における終局時の保証設計法の提案を行う。
|
Research Products
(4 results)