2010 Fiscal Year Annual Research Report
木材の破壊現象におけるパーコレーションモデルの適用
Project/Area Number |
22580185
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中井 毅尚 島根大学, 総合理工学部, 准教授 (90314616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 浩之 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (50210555)
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Keywords | 生物物理 / 物性実験 / モデル化 |
Research Abstract |
材料の破壊は3つの特徴的な相、すなわち、第1相:き裂(crazeやcrack)の形成もしくは発生、第2相:き裂が比較的安定してゆっくりと伝播する、第3相:き裂が不安定な状態で急速に伝播する、に分類できる。木材の破壊現象では主に破壊力学やフラクトグラフィ的観点から、第2、3相の評価が行われているが、第1相については、既存の欠陥部が関与しているものと推定されているに過ぎない。そこで本研究では、まず(1)木材の第1相の破壊解釈、を中心に行い、続いてその結果を踏まえた(2)第1相から第3相の破壊に対する確率モデル(パーコレーションモデル)の提案、を行う。本モデル導入により、破壊現象における損傷蓄積過程と破断強度との関係を明らかにし、木材の分子レベルからマクロレベルにおける連続的かつ定量的な破壊評価法の確立を目指す。この評価法の有効性が確認できれば、木材の塑性挙動とクリープ現象に関する解釈が飛躍的に進展する可能性が高い。 本年度は、まず試験体の調整を行った。用意した試験体は、◎多糖類を段階的に除去した単一仮道管あるいは重複仮道管、◎X線応力測定用の板目および柾目薄片、◎板目および柾目薄片をQuenching処理した試験体、◎一軸配向した抄き紙とランダム配向した抄き紙、の計4種類であった。これら4種類の試験体を用いて各種物性試験を行い、パーコレーション閾値の決定(パーコレーションモデルに基づくべき乗則の適用→s値/微小な欠損部の個数/結晶化度/処理後時間経過(Quenching処理)などと弾性率/強度との関係を明確にし、パーコレーションモデルの適合度を調査)を試みた。
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