2010 Fiscal Year Annual Research Report
クライオToF-SIMSを用いた木部柔細胞の細胞齢による機能変化の解析
Project/Area Number |
22580188
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
黒田 克史 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 主任研究員 (90399379)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 貴規 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (20252281)
|
Keywords | 柔細胞 / 心材 / フェルギノール / ToF-SIMS / クライオ / ガスクロマトグラフィー / ICP-MS |
Research Abstract |
樹木の立木内における化学成分の分布特性を解明する手法として,水を含む木材試料のクライオToF-SIMS測定を検討した。ドイツ・ユーリッヒのWalter Schroeder博士の協力を得て,立木凍結法により採取,調整したスギ木部試料のクライオToF-SIMS測定を行った結果,木部の水分布およびカリウム等の分布の可視化に成功した。一方で心材物質であるフェルギノール由来と考えられるマススペクトルの発現パターンが,水を含む試料では乾燥試料の場合と異なることを明らかにした。樹木組織でクライオToF-SIMS測定を行った実験は世界でまだ報告が無い。得られた結果は,立木内における化学成分の分布特性を世界に先駆けて解明する可能性を示唆する重要な知見である。 目的の細胞における成分の定性定量解析を行う手法として,レーザーマイクロダイセクション法により切片から切り出した試料を用いてICP-MSあるいはガスクロマトグラフィーで測定する方法を検討した。厚さ80μmの切片から一辺数10μmの範囲を切り出した場合,複数枚の連続切片の同一箇所から試料を回収することによりICP-MSによる元素解析が可能であることを明らかにした.一方で,ガスクロマトグラフィー測定の場合,成分解析にはICP-MSで測定可能な最低量よりもおよそ5倍の試料が必要なことがわかった。細胞レベルで成分の定性定量解析を成功させるにはより少ない量の試料で測定する必要がある。来年度は,定性定量解析手法の確立のために測定方法を改良する予定である。
|
Research Products
(3 results)