2011 Fiscal Year Annual Research Report
木材保護塗料の浸透・分布状態が耐候性能の発現に及ぼす効果の解明
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22580190
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
片岡 厚 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, チーム長 (80353639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木口 実 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 室長 (50353660)
松永 浩史 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 主任研究員 (80391184)
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Keywords | 木材 / 耐候性 / 木材保護塗料 / 浸透 |
Research Abstract |
本研究では、屋外で使用される木材に耐候性を付与する目的で用いられている木材保護塗料について、塗料成分がどのように木材に浸透するのか、それが耐候性能の発現に対してどのように影響するのかを明らかにする。 平成23年度は、塗料成分の「浸透-性能」の関係について理解を深めるため、前年度に調製した塗料各成分の浸透深さが異なる試験体を耐候性試験に供し、成分分布の変化と性能との関係を分析して、以下のことを明らかにした。 1.塗料成分の分布状態を各成分ごとに分析して、木材保護塗料の初期性能発揮メカニズムの概要を明らかにした。塗装後、耐候性試験前のスギ早材部では、顔料成分(Fe)が深さ100μmまで浅く分布するのに対し、樹脂成分(C=0)と薬剤成分(Cl)は深さ約300μmまで深く浸透していた。すなわち、顔料が木材表面で紫外線遮蔽効果を発揮するのに対し、樹脂や薬剤は紫外線がほぼ到達しない深さまで浸透して、木材素地の安定化と生物汚染の抑制効果を発揮することが分かった。 2.促進耐候性試験2500時間後(屋外の2~3年後に相当)の深さ分析により、使用環境下で生じる性能低下メカニズムの一部を明らかにした。同試験後、顔料成分は試験前と同様の深さまで分布していたが、薬剤成分については深さ約300μmまで溶脱が進行していた。この時期は塗装面にごく微細な割れが発生しやすいため、水溶性の薬剤成分の溶脱が徐々に進行したと考えられる。 3.今後は、このような塗料成分の分布・浸透状態の変化が、使用環境下での性能変化とどのように結びつくのか総合的な解析を進め、木材保護塗料の浸透・分布が耐候性能に及ぼす効果を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで木材表層への塗料各成分の浸透深さを評価する方法を確立し、塗装試験体の耐候性試験を開始した。塗料成分の浸透と耐候性能との関係について詳細な検討に着手し、従来の不明点を明らかにしつつある。以上のとおり、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
木材表層における塗料成分の分布・浸透状態が、耐候性試験の継続によって今後どのように変化し、それが性能変化とどのように結びつくのか、研究計画に沿って総合的に解析することにより、目標を達成する。
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Research Products
(3 results)